下の立って描いたスケッチと
座って描いたスケッチを見比べてみてください

立って描いたスケッチは
立った状態の目の高さから見た風景です

座って描いたスケッチは
立った状態の腰に近い高さから見た風景です

どちらかを
「見慣れている」
「親しみやすい」
と感じることはありますか?

立って描いたスケッチと座って描いたスケッチの比較
立って描いたスケッチと座って描いたスケッチの比較

僕は17年ほど
アニメ背景の仕事をしてきました

仕事では
カメラの高さやアイレベルを考えながら
背景を描くことが多いです

今回、自分で描いた
立って描いたスケッチと
座って描いたスケッチを見比べてみると
カメラの高さによって
同じ風景でも
画面の印象が変わる
ことに
あらためて気づきました

立って描いたスケッチは
登場人物の視点から見た映像のように見え
座って描いたスケッチは
特定の人物の視点を感じさせにくい
フラットな映像のように見えます

僕がアニメや映画を
見慣れているためかもしれません

どうしてこのように見えるのか
カメラの高さとアイレベルから考えてみます

カメラの高さによって画面の印象が変わる

下の図のように、立った状態の

  • 目の高さ
  • 胸から腰の高さ

にカメラを置いた場合を考えます

低いイスに座ったときの目の高さは
立った状態の腰くらいです

立った状態の目・胸・腰とアイレベルの高さ
立った状態の目・胸・腰とアイレベルの高さ

アニメや映画では
特別な演出意図のないフラットな映像の場合
腰から胸くらいの高さに
アイレベルを置くことが多いようです

立った状態の目の高さに
カメラを置くと
登場人物の視点という
演出意図
が加わります

今回は比較していませんが
さらに低いひざの位置にカメラを置くと
猫や犬などの動物の視点のように
見えることがあります

このような
普段より低いカメラ位置は
ローポジションと呼ばれます

ローポジションから見た画面は
迫力があったり
かっこよく感じられたりすることがあります

普段の目の高さとは違う
見慣れない視点であることも
理由の1つ
かもしれません

スケッチに人物を配置してみる

先ほどのスケッチに
人物を配置してみます

スケッチに人物を配置した比較
スケッチに人物を配置した比較

先ほどのスケッチに
人物を配置してみます

立って描いたスケッチでは
立っている人物の目の高さと
アイレベルが近いことがわかります

そのため
立っている人物の視点から見た絵のように
感じられます

一方、座って描いたスケッチでは
人物の目よりも低い位置に
アイレベルがあります

こうして人物を配置してみると
カメラの高さによって
誰の視点に見えるのかが変わることを
確認しやすくなります

立って描いたスケッチ/座って描いたスケッチの比較
立って描いたスケッチ/座って描いたスケッチの比較

人物がいる絵を見たあとでは
人物のいない絵も

カメラの高さや
誰の視点なのかを意識して
見られるようになるかもしれません

見慣れた画面は人によって違う

僕は立って描いたスケッチを
登場人物の視点から見た
少し特殊な映像のように感じます

ただし、立った状態で
ファインダーをのぞいて撮った写真や
YouTube、TikTokなどで

目の高さから撮られた映像を見慣れている人は
目の高さの画面を自然に感じるかもしれません

何を見慣れた画面と感じるかは
普段見ている写真や映像によって
変わるのだと思います

描きたい画面に合わせてカメラの高さを変えてみる

カメラの高さが変わると
同じ風景でも
画面の印象が変わります

目の高さなら
登場人物の視点
のように見え
胸から腰くらいの高さなら
特定の人物の視点を感じさせにくい
フラットな映像
に見えることがあります

どの高さが正しいということではありません

描きたい画面に合わせて
カメラの高さを選ぶことが大切だと思います

資料写真を撮るときや
屋外でスケッチするときは
いつもと同じ高さの視点だけでなく
胸や腰、ひざの高さからも
風景を見てみてください

同じ場所でも
今までとは違う画面に
見えてくるかもしれません


【あわせて読みたい記事】

普段とは違う視点の高さや方向から
風景を見て描いてみたい方は
立ったり、しゃがんだりしながら
短時間でいろいろな構図を試す
コマ割りスケッチの記事
も参考になると思います

広角・標準・望遠によって
画面がどう変わるのか知りたい方は
消失点の距離から
レンズごとの見え方を考える記事

あわせてどうぞ

カメラやレンズを含めて
絵を描くときに考えることを整理したい方は
形・空間・光・色・画面構成・表現の関係を
まとめた記事
も参考にしてみてください

ABOUT ME
後藤太郎
17年ほどアニメ背景美術の仕事をしてきました。現在は、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりしながら気づいたことを発信しています。