絵を描くとき、何を考えればいい?必要な知識の分類と関係性を整理しました
僕は仕事で17年間
アニメの背景を描いてきました
その中で「もっと上手くなりたい」と思ったとき
必要だったのは努力よりもまず
絵に必要な知識の全体像を知ることでした
独学で学んでいると
- 自分にはどんな知識が必要なのか
- 今の自分に足りない知識は何か
- どこを目指して何を学べばいいか
が見えにくいことがあります
僕自身も
「本にはどれも同じことが書いてある」と
感じていた時期がありました
しかし実際には
本ごとに扱っている範囲や
重点を置いている部分が異なります
何冊か読み比べることで
少しずつ全体像や
知識同士のつながりが見えてきました
また、絵に必要な知識は
一つずつ個別に学ぶだけでは
うまく使い分けられないことがあります
そこでこの記事では
絵を描くのに必要な知識を6つに分類し
それぞれの関係性も整理しました

詳細は下図のようになります

上の図は、独学で絵を学ぶときの
知識の地図やチェックリストとして
使えると思います
この記事でできること
- 自分に必要な知識の分野が分かる
- 次に学ぶテーマが決めやすくなる
- 制作中の確認に使える
この記事の使い方(どこを読めばいい?)
- 絵に必要な知識の全体像を知りたい人
→ 「絵を描くのに必要な知識の分類と関係性」へ - 今の絵の問題から必要な知識を探したい人
→ 「問題があったらどこへ戻る?」へ - 本を使って詳しく学びたい人
→ 「絵の勉強におすすめの本」へ - 実際に手を動かして練習したい人
→ 「30分でできる絵の練習」へ
※まずは見出しだけ眺めて
気になるところから読む形でも大丈夫です
絵を描くのに必要な知識の分類と関係性(全体像)
6つの分類
まず、絵を描くのに必要な知識を
6つの項目に分類すると
次の図のようになります

さらにそれぞれを分解していくと
より具体的な学習項目が見えてきます

「学ぶ順」と「使う順」は同じではない
知識を学ぶ順番と
1枚の絵を描くときに使う順番は
一致しません
学習では
下図の下から積み上げることが多い一方
制作ではまず
- 何を描きたいか
- どう見せたいか
が出発点になります
制作では、その意図を実現する手段として
画面構成・光・色・形・空間を設計していきます

たとえば
「パースが狂っている」と感じる絵でも
それが単なる間違いとは限りません
一枚絵と漫画やアニメでは
絵に求められる役割や
制作上の条件が異なります
また、透視図法を理解したうえで
演出のために意図的に誇張している場合と
意図せず整合性が崩れている場合も
分けて考える必要があります
透視図法だけを基準にすると
表現や画面構成による意図的な判断まで
「パースが正しいか、間違っているか」だけで
捉えてしまうことがあります
正しさだけでなく
何を見せるための判断なのかを
考える必要があります
制作の始め方が違っても
最後に重要なのは「表現・意図」です
アイデア出しの段階では
最初からコンセプトを決めず
描き始めてから方向性を見つけることもあります
ただし最終的に
何を残し、何を変えるかを決める基準になるのは
- 何を描きたいか
- どう感じてほしいか
という表現・意図です
次の章では
制作判断の出発点となる「表現・意図」から
整理していきます
「表現・意図」(何を伝える絵か)
表現・意図は
何を描き
どう受け取ってほしいのか
という制作判断の出発点です
ここが見えてくると
画面構成・光・色・形・空間で
何を優先すればよいのか
判断しやすくなります


この章では
という順に整理します
ジャンル理解

同じ題材でも
どんな文脈や媒体で見せるのかによって
求められる表現は変わります
たとえば
写実寄りにするのか
デフォルメを強くするのか
一枚の絵として見せるのか
物語の中の1カットとして見せるのか
といった違いがあります
何を正確に描き
何を省略・誇張してよいのかを考えるためにも
まず自分が
どんな方向の絵を描こうとしているのか
整理しておきます
目的

次に
- この絵は何のために描くのか
- 何ができれば成功なのか
を考えます
たとえば
表紙のための絵なら
内容に興味を持ってもらう
説明用の絵なら
必要な情報を分かりやすく伝える
個人作品なら
自分が表現したいものを形にする
というように
目的によって
優先するものは変わります
目的が見えていると
制作中に何を残し
何を削るのかも判断しやすくなります
コンセプト

コンセプトは
この絵の中心に何を置くのか
を整理するためのものです
僕の場合は
- 何について描くのか
- 何を中心に伝えたいのか
- どんな視点から描くのか
といったことを考えます
たとえば同じ街を描く場合でも
日常として見るのか
旅の記憶として見るのか
それだけでも
選ぶ構図や色
描き込むものは変わります
コンセプトは
後の判断を一つの方向へまとめるための
基準として使います
意味の構造

伝えたいことが決まっても
それだけで見る人に
同じ意味が伝わるとは限りません
そこで
人物・物・場所・状況などを
どのように組み合わせれば
意図が伝わるのかを考えます
僕は意味の伝え方を考えるとき
大きく
- コンセプチュアル
- ナラティブ
という2つの方向から整理しています
コンセプチュアルでは
象徴や対比
比喩などを使って
意味を視覚的に伝えます
ナラティブでは
人物の行動や
その場の状況などから
何が起きているのかを
想像してもらいます
実際の絵では
どちらか一方だけを
使うとは限りません
象徴と状況を組み合わせながら
伝えたい内容に合わせて使います
効果・狙う受け取り方

同じ内容を描いていても
どんな印象で受け取ってほしいのか
によって
画面の作り方は変わります
たとえば
- 静かに感じてほしい
- 不安を感じてほしい
- 楽しい雰囲気にしたい
- 懐かしさを残したい
といった方向です
こうした方向を決めたうえで
- 画面構成
- 明暗
- 色
- 余白
- 視点
- エッジ
- 描き込み量
などを
狙った印象へ近づけるための
手段として使います
ただし
特定の色や構図を使えば
必ず特定の感情になるわけではありません
ここでは
狙った印象へ近づけるための
演出上の手掛かり
として考えます
形の最適化

最後に
ここまで考えた意図が
伝わりやすくなるように
形や情報を整理します
現実にあるものを
すべてそのまま残すのではなく
必要に応じて
- 誇張する
重要な特徴を強く見せる - 省略する
伝えるために必要のない情報を減らす - デフォルメする
意図に合わせて形や比率を組み直す
といった方法を使います
何を残して
何を変えるのかを決める基準になるのも
最初に考えた
表現・意図です
表現・意図のチェック
ここまでを整理するときは
- 何のための絵か
- 何を中心に伝えたいのか
- どんな印象で受け取ってほしいのか
の3つを確認します
すべてを最初から
完全に決める必要はありません
描きながら
方向が見えてくる場合もあります
ただし
制作中に迷ったときには
この3つへ戻ることで
何を残し
何を変えるのかを判断しやすくなります
次は
ここで決めた表現・意図を
実際の画面にどう配置するか
「画面構成」
について整理します
「画面構成」(主役と視線の設計)
画面構成は
表現・意図で決めた内容を
実際の画面の中で
何をどこに置き
どの順番で見せるのか
を整理するためのものです
主役や脇役
余白や画面の分け方
目を引く要素の配置を考えることで
見る人が
どこを見ればよいのか
分かりやすくなります


この章では
という順に整理します
前提条件

表現・意図で
何を伝えるのかを整理したら
次に
その絵がどんな環境で見られるのか
を確認します
たとえば
- SNSやWebで見るのか
- 本や雑誌などの印刷物で見るのか
- 展示で見るのか
- 小さな画面で見るのか
- 近づいて細部まで見られるのか
- 一瞬で見るのか
- 時間をかけて見るのか
といった条件です
同じ絵でも
スマホの小さな画面で見る場合と
展示で近づいて見る場合では
必要な見せ方は変わります
ここでは
媒体・大きさ・距離・閲覧時間
などを確認し
このあと画面構成を考えるための
前提をそろえます
主役・脇役の整理

次に
何を最初に見せて
その次に何を見せるのか
を整理します
僕の場合は
- 主役
- 準主役
- 背景・脇役
というように
画面の中の優先順位を考えます
主役は
この絵で
最も伝えたいものです
準主役は
主役の意味や状況を
補うためのものです
背景や脇役は
その場所の雰囲気や
世界観を支えます
すべてを
同じ強さで見せるのではなく
何を優先して見せるのか
を整理しておくと
このあとの配置や
視線誘導も考えやすくなります
配置の意味づけ

同じ主役でも
画面のどこに置くかによって
受ける印象は変わります

ただし
配置だけで印象が決まるわけではありません
僕は構図を考えるとき
こうした位置から受ける印象を
演出上の手掛かりとして使っています
ここでは
表現・意図で決めた方向に合わせて
主役をどこに置き
周囲をどのように空けるのか
を考えます
画面分割

画面分割では
画面を大きな面として捉え
どこに
どのくらいの場所を使うのか
を整理します
主役や背景
余白などを
大きな領域として見ることで
細かいものを描き始める前に
画面全体のバランスを確認できます

上の図のように
三分割法や対角分割
三角構図など
画面を整理するための
さまざまな型があります
こうした型は
主役や余白を
どのように配置するか考えるための手掛かり
として使えます
ただし
型に当てはめれば
よい構図になるわけではありません
表現・意図に合わせて
何をどこに置けば
伝えたい内容を見せやすいのか
を考えることが大切です
視線誘導の手段

主役や画面の大きな配置が決まったら
次に
どこへ目を向けてもらうのか
を考えます
僕は視線誘導を考えるとき
- 明暗の差
- 色の差
- エッジの強さ
- 大きさの差
- 描き込み量の差
- 顔や人物
- 形や線の方向
- 反復と変化
などを
目を引く手掛かりとして使っています
下の図は
僕が制作するときに意識している
視線を引く強弱の考え方を
整理したものです



ただし
どの要素が強く働くのかは
絵の内容や
周囲との関係によって変わります
ここでは
視線誘導を考えるための一つの目安
として使っています
視線誘導には
主役だけに強い差を作る方法や
段階的に強さを変える方法
周囲の形や線を使って
主役へ視線を集める方法などがあります

こうしたパターンも
見る人の視線が
必ずその通りに動くというものではありません
どこを見てほしいのかを
設計しやすくするための型
として使います
主役と周囲に
どのような差をつければよいのか
実際の作例で確認したい場合は
明暗・色・描き込みなどを使って主役を目立たせる方法でも
紹介しています
視線の流れとテンポ

視線誘導では
何によって目を引くのか
を考えました
視線の流れでは
そこで作った
目を引く場所をつなぎながら
どんな順番やリズムで
画面を見てもらいたいのか
を考えます
たとえば
主役を見たあと
- 準主役へ移るのか
- 画面全体へ視線を広げるのか
- もう一度主役へ戻るのか
- そのまま画面の外へ抜けるのか
といった違いがあります
僕は画面を整理するとき
- 止まる
- 流れる
- 休む
という視線のリズムも意識しています
たとえば
- 主役では
少し長く見てもらう - 線や形の方向や
明暗差などを使って
次の要素へ視線をつなぐ - 余白や単純な面では
視線を休ませる
というように
情報量や強弱に差をつけながら
画面全体のテンポを調整します
- 水平
- 垂直
- 対角
- 曲線
などの大きな方向も
視線の流れを作るための
手掛かりとして使えます
ただし
見る人の視線が
こちらの想定した順番どおりに
必ず動くわけではありません
ここでは
見てほしい順番や流れを
作りやすくするための設計
として考えます
画面構成のチェック
ここまでを整理するときは
- 何を最初に見せたいのか
- 主役と脇役の優先順位が分かるか
- 主役の位置や余白に意図があるか
- 大きな画面分割が整理されているか
- 主役へ目を向ける手掛かりがあるか
- その後の視線の流れを邪魔するものがないか
を確認します
細部まで描き込む前に
一度小さくして見て
主役が分かるか確認するのも有効です
画面を単純化して見ることで
細部に隠れていた
大きな配置や強弱の問題を
見つけやすくなります
画面構成について
構図の種類や
現実の風景を画面として整理する方法まで
本を使って詳しく学びたい場合は
「絵の勉強におすすめの本」の画面構成に関する項目から
必要な本を探すこともできます
「画面構成」が整理できたら
次は
ここで決めた主役や画面の流れを
明暗で支えるために
「光」
について整理します
「光」(白黒で主役を勝たせる)
光は
画面の明暗や影を整理し
立体や空間を見せるための知識です
画面構成で決めた主役や
視線の流れを明暗によって
支える役割もあります
ここでは
光がどこから来て
物や空間にどう影響するのかを
順番に整理します


明暗は何のために使うのか
明暗を考えるとき
見えた明るさを
そのまま描くだけでなく
この明暗は
何のために使うのか
を考えると
整理しやすくなります
僕の場合は
明暗の役割を考えるとき
まず次の3つに注目しています
- 面の向きを見せる
→ 立体を分かりやすくする - 視線を集める
→ 主役を目立たせる - 距離を整理する
→ 奥行きを感じやすくする
同じ明暗でも
何を表すために使うのかによって
考え方は変わります
面の向きを
明暗で単純化して考えたい場合は
立体を3階調で描く練習で
確認できます
主役の周囲に
どのような明暗差を作ればよいのかは
グレーのマーカーで主役のまわりの明暗差を確認する練習で
紹介しています
距離によって
コントラストや描き込み量を整理する考え方は
遠景・中景・近景の3グループでコントラストを整理する方法で
確認できます
ただし
距離によって遠景の見え方が変わる仕組みは
「光」だけの問題ではありません
大気による見え方の変化については
後の「空間」でも整理します
この章では
という順に整理します
光源

光を考えるときは
まず
- どこから
- どんな光が来ているのか
を確認します
たとえば
- 太陽
- 空
- 窓から入る光
- 室内の照明
- 看板やモニター
など
場面によって
さまざまな光源があります
光源が複数ある場合でも
僕はまず
どの光を基準にして考えるのか
を決めるようにしています
光源の
- 位置
- 大きさ
- 距離
- 色
- 数
などによって
物の明るさや
影の見え方は変わります
光源がどこにあり
どの面へ光が届いているのかを考えると
光面と影面
落ち影の大きな方向を
整理しやすくなります
どちらの面が明るくなるのか
判断しにくい場合は
光の経路から面の明るさを考える方法でも
紹介しています
光の質

同じ方向から光が当たっていても
光の状態によって
影の見え方は変わります

影の境界は
光源の見かけの大きさなどによって
硬く見えたり
柔らかく見えたりします
また
直射光なのか
周囲に広がった光なのかによっても
明暗差や
影の見え方は変化します
僕はこうした違いを
光の質
として整理しています
光の質を変えることで
画面から受ける印象も変えられます
たとえば僕の場合は
硬い光を
緊張感のある場面に使ったり
柔らかい光を
穏やかな場面に使ったりすることがあります
ただし
硬い光なら必ず緊張感が出る
という意味ではありません
表現・意図に合わせて使う
演出上の手掛かりとして考えます
光の方向


光が
どの方向から当たっているのかによって
物の明るい面と
暗い面は変わります
- 順光
- 逆光
- 横からの光
- 上からの光
など
方向が変われば
同じ形でも
見え方は変わります
ここでは
光がどこから来て
どの面に届くのか
を考え
光面と影面
落ち影の大きな方向を整理します
光の方向は
立体の見え方だけでなく
主役の見せ方にも使えます
たとえば
主役へ光を当てるのか
あえて暗い側へ置いて
シルエットを使うのか
によっても
画面の印象は変わります
ただし
逆光なら必ずドラマチックになる
正面光なら必ず平坦になる
というものではありません
ここでも
表現・意図に合わせて
光の方向を使い分けます
投影

陰影は
大きく分けると
- 形の陰
- 落ち影
として考えることができます

形の陰(フォームシャドウ)は
物体の面が光源に対して背を向くなどして
直接の光が当たりにくく
暗く見える部分です
落ち影(キャストシャドウ)は
物体によって光が遮られ
地面や壁など
別の面にできる影です
この2つを分けて考えると
立体そのものの明暗と
光によってできる影を
整理しやすくなります

落ち影の方向は
光源との位置関係を考える
手掛かりになります
影の長さも
光源の高さや位置によって変わります
太陽光の場合は
影の長さや方向が
時間帯を考える手掛かりになることもあります
また
物体が地面などに接している場所では
周囲からの光が入りにくく
暗く見えやすいため
接地感を出す
手掛かりとして使えます
ただし
接地部分が
必ず画面の中で一番暗くなる
という意味ではありません
反射光・環境光

物体の影側は
光源から直接
光が当たっていないだけではありません
空や床
壁や周囲の物体などから
別の光が届くことがあります

こうした周囲からの光によって
影の中にも
明るさや色の違いが生まれます
僕は
空や周囲から届く光と
床や壁
物体などから反射して届く光を意識しながら
影の中を整理しています
ただし
影は必ず明るく持ち上げればよい
というものではありません
周囲が暗ければ
影側へ届く光も少なくなります
大切なのは
その場所では
どこから光が届いているのか
を考えることです
反射光や環境光を見ることで
影を一色で塗るのではなく
周囲の環境に合わせて
暗部を整理しやすくなります
大気・距離と空間

現在の分類図では
「大気・距離による光の減衰」
として整理しています
ただし
ここで扱っている
- 遠景のコントラストが弱く見える
- 細部が見えにくくなる
- 大気の影響を受けて見え方が変わる
といった現象は
単純に
光源からの光が
距離によって弱くなる
という話ではありません
物体と見る人の間にある
大気の影響も関係しています
そのため、ここでは
「光」と「空間」が関係する部分として
位置だけ確認し
詳しくは後の
「空間」→「空気遠近法」
で整理します

絵を描くときには
近景・中景・遠景で
- コントラスト
- エッジ
- 描き込み量
などに差をつけることで
距離を整理する方法があります
僕自身も
近景・中景・遠景を
大きなグループとして分けながら
画面を整理することがあります
具体的な方法は
遠景・中景・近景の3グループでコントラストを整理する方法で
紹介しています
光のチェック
ここまでを整理するときは
- 基準になる光はどこから来ているか
- 影の硬さは光の状態と合っているか
- 光面と影面の向きに矛盾がないか
- 落ち影の方向が光源と合っているか
- 形の陰と落ち影を区別できているか
- 影の中に届く周囲からの光を考えているか
を確認します
細部に目が行きすぎて
明暗が分かりにくい場合は
目を細めて見ることで
大きな明暗のまとまりを
確認する方法もあります
また
画面を数階調程度まで単純化すると
主役の周囲に
どのような明暗差があるのか
確認しやすくなります
立体そのものの明暗を
単純化して練習したい場合は
立体を3階調で描く練習
主役の周囲の明暗差を
確認したい場合は
グレーのマーカーで主役のまわりの明暗差を見る練習も
使えます
「光」が整理できたら
次は
光によって作った明暗をもとに
色の関係や
画面の雰囲気を考えるために
「色」
について整理します
「色」(雰囲気と主役の強調)
色は
光によって作られた明暗をもとに
物の見え方や
画面全体の印象を整理するための知識です
色相や明度
彩度の違いを見るだけでなく
光によって
- 物の色がどう変わって見えるのか
- どの色を
どのくらい使うのか
といった関係も考えます


この章では
の順に整理していきます
色相・明度・彩度

色を整理するときは
- 色相
- 明度
- 彩度
という3つの要素に分けて考えると
違いを見つけやすくなります
赤や青、緑など何色なのか
どのくらい明るいのか
どのくらい鮮やかなのか
を見るためのものです
たとえば混色や色選びのときに
思った色にならない場合も
- 色相が違うのか
- 明るすぎるのか
暗すぎるのか - 鮮やかすぎるのか
くすみすぎているのか
と分けることで
原因を考えやすくなります
僕の場合は
色を認識するとき
まず色相
次に明度
最後に彩度
という順で見ることが多いです
一方で
実際に色を選んだり
混色したりするときは
まず明度
次に彩度
最後に色相
という順で確認しています
これは
色を見るときと
色を作るときでは
確認したいことが
少し違うためです
ただし
この順番は
色を扱うための絶対的なルールではなく
僕自身が制作の中で使っている
整理方法の一つです
混色

混色は
色を混ぜたときに
色相・明度・彩度がどう変わるのか
を考えるための知識です
絵の具やインクなどでは
混ぜる色の組み合わせによって
彩度が下がったり
明るさが変わったりします
特に
補色に近い色を混ぜたり
多くの顔料を重ねていくことで
彩度が下がることがあります
一方
光を重ねる場合には
加法混色という
別の仕組みがあります
デジタルでは
画面への表示はRGBを基礎にしていますが
実際にペイントソフト上で
色を混ぜたときの変化は
ブラシや合成方法
色空間などによっても変わります
そのため
ここでは
- 絵の具の混色
- 光の混色
- デジタル上の色の混ざり方
を
同じものとして扱わないようにします
実際に絵の具を混ぜながら
色相や彩度の変化を確認したい場合は
混色で色相や彩度を調整する考え方
でも紹介しています
光源色と物体色

物体の色は
その物体がもつ色だけで
決まって見えるわけではありません
同じ物でも
- 昼間
- 夕方
- 室内
など
光の状態が変われば
見える色も変化します
ここでは
- 物体そのものの色
- 光源から届く光
- 周囲から届く光
の関係を考えます
たとえば
白い物体でも
暖かい光の下では
暖色寄りに見えたり
周囲から青みのある光が届けば
影側にその影響が見えることがあります
大切なのは
物体の色へ
光源色や環境色を
単純に足し算することではなく
その場所では
どんな光を受けているのか
を考えることです
前の「光」では
どこから光が届くのかを整理しました
ここでは
その光によって
物の色がどのように見えるのか
に注目します
配色

配色では
画面の中で
どの色を
どのような役割で使うのかを
考えます
同じ色を使っていても
使う面積や
周囲の色との関係によって
目立ち方や
画面全体のまとまりは変わります
僕は配色を整理するとき
- ベース
画面の大部分を占める色 - サブ
それを補う色 - アクセント
強く見せたい場所に使う色
というように
3つに分けて考えることがあります
これは
すべての絵を
必ず3色に分けるという意味ではありません
色の役割を整理するための
考え方の一つです
また
- 類似した色を中心にまとめる
- 離れた色相を対比させる
- 明度や彩度の方向をそろえる
など
色同士の関係を使って
画面を整理する方法もあります
ここでは
配色の型そのものを覚えるより
- どの色を広く使い
- どの色を控え
- どこに強い色を置くのか
を考えることを重視します
色の心理的効果

色によって
画面から受ける印象が
変わることがあります
たとえば
- 暖かく感じる色
- 冷たく感じる色
- 強く目を引きやすい色
- 落ち着いて見えやすい色
などがあります
ただし
特定の色を使えば
必ず特定の感情になるわけではありません
同じ色でも
- 周囲の色
- 明暗
- 場面
- 見る人の経験
などによって
受ける印象は変わります
僕は制作するとき
色による印象を
絶対的なルールとしてではなく
表現・意図で決めた方向へ
画面を近づけるための手掛かり
として使っています
たとえば
- 暖色と寒色の違い
- 彩度の高低
- 明度の高低
などから受ける印象を参考にしながら
画面全体の色や
主役の見せ方を考えます
実際のアニメ背景で
キャラクターや
その場の状況に合わせて
色を選ぶ例については
流背の色の選び方
でも紹介しています
色のチェック
ここまでを整理するときは
- 色相・明度・彩度のどこに違和感があるのか
分けて考えられるか - 混色によって狙った色から外れていないか
- 物体の色が
その場所の光と合っているか - 画面の中で
色の役割や強弱が整理されているか - 色から受ける印象が
表現・意図と合っているか
を確認します
色を加えたことで
画面が散って見える場合は
一度
明暗だけでも確認して
前の「光」や「画面構成」で決めた
主役や大きな明暗が
崩れていないかを見ることもできます
色相・明度・彩度
混色
配色などについて
本を使って詳しく学びたい場合は
「絵の勉強におすすめの本」の色・光に関する項目から
必要な本を探すこともできます
「色」が整理できたら
次は
物のシルエットや
立体としてのまとまりを考えるために
「形」
について整理します
「形」(シルエットと立体を整理する)
形は
「物の大きなシルエットや
立体としてのまとまりを整理するための知識」です
輪郭だけでなく
厚みや面の向き
形同士のつながりを見ることで
何を描いているのか
読み取りやすくなります
ここでは
形を
大きな立体として捉え
必要に応じて面や特徴へ分けていく
という流れで整理します


この章では
の順に整理します
立体

物を描くとき
輪郭だけを追うのではなく
奥行き方向に
どのような厚みがあるのか
を考えると
立体として捉えやすくなります
僕は複雑な形を見るとき
- 箱
- 円柱
- 球
など
単純な立体へ
置き換えて考えることがあります
これは
すべての形を
正確な箱や円柱にするという意味ではありません
大きな
- 向き
- 厚み
- 傾き
- つながり
を確認するための
手掛かりとして使います
たとえば
木の幹や枝も
輪郭だけを見るのではなく
太さのある立体が
どの方向へ伸びているのか
と考えることで
形を整理しやすくなります
大切なのは
意図しないねじれや
立体としての矛盾がないか
を確認することです
解剖学

人物や動物など
生物を描く場合は
形を考えるために
解剖学の知識も使います
ここでいう解剖学は
筋肉や骨の名前を
すべて覚えることだけではありません
たとえば
- 体の比率
- 関節の位置
- 手足のつながり
- 体の向き
- 体重のかかり方
などを理解することで
無理のない形や
動きを考えやすくなります
僕は人物を見るときも
細かな筋肉を描く前に
- 頭
- 胸郭
- 骨盤
- 手足
などを
大きな形として捉えるようにしています
解剖学は
すべての絵で必要になる知識ではありませんが
人物や生物を描くときには
形のつながりを理解するための知識
として役立ちます
面構成

立体では
物を
大きなかたまりとして
捉えました
面構成では
その立体を
向きの違う大きな面に分けて
考えます
たとえば
箱であれば
- 正面
- 側面
- 上面
というように
面の向きが変わる場所を
見つけることができます
複雑な形でも
- どこまでが
同じ方向を向いた面なのか - どこで面の向きが変わるのか
と整理することで
立体の構造を
理解しやすくなります
これは
前の「光」で扱った
光面と影面を考えるための土台
にもなります
形そのものの面が整理されていると
- どの面に光が当たり
- どの面が暗くなるのか
考えやすくなるためです
面の向きを
明暗で単純化して確認したい場合は
立体を3階調で描く練習
でも確認できます
デザイン

形を描くときは
見えたものを
そのまま同じ情報量で描くとは限りません
何を伝えたいのかに合わせて
形の特徴を整理する
こともあります
たとえば
- シルエット
- 大きさの差
- 直線と曲線
- 大・中・小の形
- 反復と変化
- 省略
などを使って
形の読みやすさや
特徴を整理できます
僕は
形をデザインするとき
細かな特徴を
すべて残すのではなく
何を残せば
その形らしく見えるのか
を考えるようにしています
必要に応じて
特徴を強調したり
不要な情報を省いたりすることで
伝えたい形を
読み取りやすくできます
これは
「表現・意図」で扱った
形の最適化
とも関係します
「表現・意図」では
なぜ形を変えるのか
を考え
ここでは
実際に形を
どのように整理するのか
に注目します
形のチェック
ここまでを整理するときは
- 大きなシルエットを読み取れるか
- 奥行き方向の厚みや向きを考えられているか
- 意図しないねじれや立体の矛盾がないか
- 人物や生物では
比率や関節
体重のかかり方に無理がないか - 大きな面の向きが整理されているか
- 伝えたい特徴が
形として読み取りやすいか
を確認します
細部が複雑で
形を捉えにくい場合は
一度
単純なシルエットや
箱・円柱・球などに置き換えて
大きな形だけを見る
方法も使えます
また
面の向きを確認したい場合は
明暗を
数階調程度まで単純化することで
立体の大きな構造を
見つけやすくなります
「形」が整理できたら
次は
物と物の重なりや
遠近による大きさの変化
大気による見え方などから
奥行きを整理するために
「空間」
について考えます
「空間」(前後関係と奥行き)
空間は
「物と物の前後関係や
距離の違いを整理するための知識」です
どこに何があるのか
どのくらい離れているのかを
画面の中で整理することで
奥行きを感じやすくなります
僕は絵の中の空間を考えるとき
主に
- 重なり
- 透視図法
- 空気遠近法
の3つに分けて整理しています
これは
空間を表現する方法が
この3つだけという意味ではありません
僕自身が制作するときに
空間を考えやすくするための
整理方法の一つです


この章では
という順に整理します
作業順について
僕は基本的に
形を整理してから
空間を確認することが多いです
ただし
室内や建物
街並みなど
空間の構造が重要な場合は
先に透視図法で
大きな骨格を考えることもあります
制作では
必ず同じ順番で進めるのではなく
描くものに合わせて
順番を入れ替えます
重なりによる遠近法

手前の物が
奥の物の一部を隠すことで
どちらが手前で
どちらが奥なのか
を伝えることができます
重なりは
前後関係を
分かりやすく伝えるための
手掛かりの一つです
僕は風景を整理するとき
- 近景
- 中景
- 遠景
というように
距離の違う
大きなグループへ分けて
考えることがあります
- どの物が
どの物より手前にあるのか - どこで
前後関係が切り替わるのか
を見ることで
複雑な風景も整理しやすくなります
また
同じくらいの大きさの物が
繰り返されている場合は
遠くにあるものほど
小さく見える変化からも
距離を感じることができます
重なりだけに頼るのではなく
大きさや位置の変化も含めて
前後関係を考えます
透視図法

透視図法は
「空間の中にある物の方向や
奥行きによる見え方の変化を
整理するための方法」です
建物や室内など
直線や構造の関係が
重要なものを描くときに
特に役立ちます
空間の中で
同じ方向を向いている平行線のグループが
画面上で
どのように収束して見えるのかを考えることで
建物や床
道路などの方向を
整理しやすくなります
また
同じ大きさのものでも
遠くにあるほど
画面上では小さく見えます
こうした変化を使うことで
画面の中に
距離や奥行きを作ることができます
1点・2点・3点透視
建物や箱などを描く場合は
主要な方向と
見る位置との関係によって
- 1点透視
- 2点透視
- 3点透視
などに分けて
考えることができます
たとえば
- 1点透視
正面方向を基準にした道路や室内など - 2点透視
建物や箱の角が見える場合 - 3点透視
上下方向の収束も大きく表したい
俯瞰やあおりなど
で使いやすい考え方です
ただし
これは
空間に消失点が
1個・2個・3個しか存在しない
という意味ではありません
複雑な物体や
異なる方向を向いた物があれば
それぞれの方向に応じた
消失点を考える必要があります
ここでは
空間の大きな方向を整理するための
代表的な考え方
として扱います
街並みなどで
消失点が画面外にあり
扱いにくい場合は
消失点が画面外にあるときの描き方で
僕が実際に使っている方法を紹介しています
また
消失点の位置と
広角・標準・望遠の見え方については
消失点の距離と広角・標準・望遠を整理した記事で
詳しくまとめています
空気遠近法

透視図法では
物の大きさや線の方向から
構造としての奥行き
を整理しました
空気遠近法では
距離によって変化する
見え方から奥行き
を考えます
遠くの物を見るときは
物体と見る人の間にある
大気の影響によって
- コントラスト
- 色
- エッジ
- 細部
などの見え方が
変化することがあります
その変化は
天候や大気の状態
光の方向などによっても違います
そのため
遠景が
必ず青くなる
必ず同じ程度まで
コントラストが下がる
というものではありません
僕は絵の中で
距離を整理するとき
近景・中景・遠景を比べながら
- コントラスト
- エッジ
- 描き込み量
などに
どのくらい違いがあるのかを
確認しています
遠景を
手前と同じ強さで描かず
距離に応じて
こうした要素に差をつけることで
画面の中で
奥行きを整理しやすくなります
色についても
大気や光の状態によって
遠くの物が
周囲の空気の影響を受けて
違った色に見えることがあります
前の「光」で触れた
大気と距離による見え方の変化については
この空気遠近法の中で
まとめて考えます
近景・中景・遠景を
大きなグループに分けて
コントラストや
描き込み量を整理する方法は
遠景・中景・近景の3グループでコントラストを整理する方法でも
紹介しています
空間のチェック
ここまでを整理するときは
- 物同士の前後関係が分かるか
- 近景・中景・遠景など
距離の違いを整理できているか - 建物などでは
透視図法の方向に矛盾がないか - 同じ大きさの物が
距離に応じて自然に小さく見えているか - 手前と遠景で
コントラスト・エッジ・情報量に
違いがあるか - 大気や光の状態に合った
遠景の見え方になっているか
を確認します
空間が分かりにくい場合は
細かな物を一つずつ見るのではなく
まず
何が手前で
何が奥なのか
を大きく分けてみます
そのうえで
- 透視図法による
構造の奥行き - 空気遠近法による
見え方の奥行き
を確認すると
問題のある場所を
見つけやすくなります
「空間」まで整理できたら
ここまでの
- 表現・意図
- 画面構成
- 光
- 色
- 形
- 空間
の関係を
最後に確認します
最後に知識同士の関係を確認する
ここまで
- 表現・意図
- 画面構成
- 光
- 色
- 形
- 空間
の6つに分けて
絵に必要な知識を整理してきました
実際に絵を描くときは
それぞれを
別々に使うわけではありません
最後に
知識同士が
大きく矛盾していないか
を確認します
表現・意図 × 画面構成
見せたいものと
実際に画面の中で
目立っているものが一致しているか
確認します
画面構成 × 光・色
主役や
視線の流れとして決めた場所を
明暗や色が邪魔していないか
確認します
形 × 光
形の面の向きと
光面・影面の関係に矛盾がないか
確認します
光 × 色
物の色が
光源や周囲から届く光と大きく矛盾していないか
確認します
形 × 空間
物の大きさや向き
前後関係などが
画面の空間の中で不自然になっていないか
確認します
短時間で確認するなら
細かな部分まで
一つずつ確認する前に
画面全体の大きな問題を
短時間で探す方法もあります
目を細めて見る
目を細めることで
細かな情報を減らし
大きな明暗や強弱のまとまりを
確認しやすくなります
小さくして見る
絵を小さくして見ると
細部よりも
- 主役
- 大きな配置
- 画面全体のバランス
を確認しやすくなります
どちらも
すべての問題を見つけられる方法ではありませんが
大きな違和感を探すときの
手掛かりとして使えます
問題があったらどこへ戻る?
絵を見直していて
何が原因なのか
分からなくなったときは
気になる問題から
対応する項目へ戻ってみます
一度に
すべてを直そうとする必要はありません
まず
今どこに問題がありそうなのかを見つけ
必要な項目へ戻って
確認していきます
6つの知識をもう一度俯瞰する
ここまで見てきた内容を
一度全体に戻してみます
下の図では
6つの分類と
それぞれに含まれる知識を
一覧で確認できます

知識同士の関係を見る
それぞれの知識は
完全に独立しているわけではありません
形と光
光と色
画面構成と表現・意図など
制作では
複数の知識を行き来しながら
一枚の絵を整理していきます

次に何をすればいい?
この記事では
絵を描くために必要な知識を
- 表現・意図
- 画面構成
- 光
- 色
- 形
- 空間
の6つに分けて整理しました
すべてを
最初から順番に学ぶ必要はありません
まずは
今の自分に必要な分野を
一つ選んでみてください
もう少し詳しく
知識を学びたい場合は
絵の勉強におすすめの本から
その分野について
詳しく説明している本を探せます
実際に手を動かしながら
確認したい場合は
30分でできる絵の練習から
自分に必要な練習を
選ぶことができます
この記事を
何を学べばよいのかを探す地図
として使いながら
必要な知識を
一つずつ確認してみてください