アニメや漫画
イラストの勉強をしていると
望遠、標準、広角といった
レンズごとの絵の特徴や
使い方は見かけます

でも実際に白い紙に描こうとすると
「消失点をどう置けば標準っぽくなるの?」
「望遠っぽくしたいときは
どうすればいいの?」
「広角っぽい絵は?」
とわからないことばかり
です

僕は17年間
アニメ背景の仕事で
パースを使ってきました

背景会社に入ってすぐ
望遠、標準、広角
という言葉を知ったころから
このあたりをずっと気にしてきました

望遠っぽい絵と広角っぽい絵の
区別がつくようになって
描き分けることが
できるようになった今でも
「見た目」以上に
はっきりとした答えは
見つかっていません


しかし
ひとまず考える足がかりとして
使いやすいシンプルな考え方を
見つけました

それが
「画面に対して
2つの消失点の距離をどう置くか」
で考える方法です

かなり大ざっぱに言えば

  • 消失点同士が近い → 広角っぽい
  • 画面幅の約2倍 → 標準っぽい
  • 消失点同士が遠い → 望遠っぽい

と考えます

もちろん
厳密な公式ではありませんが
消失点をどこに置けばいいのか
考えるときの目安にはなります

消失点の距離で広角・標準・望遠を考える

2点透視の場合は
横幅aの画面(青い部分)に対して
a/2離れた消失点を2つ取ると
青い画面内の四角柱の角は
歪みにくくなります

横幅aの画面と、左右端からa/2外側に置いた2つの消失点、画面内外の四角柱の歪みを示した図
消失点の間隔による四角柱の見え方の違い

一方で、画面外の四角柱の角は
画面から離れるほど歪みが強くなります

このことから
横幅aの画面(青い部分)の
左右端からそれぞれa/2外側に
消失点を取ると
2つの消失点の距離は2aになります

青い画面内のパースで作図された絵は
標準レンズのような
比較的歪みの少ない見え方として
簡易的に考えられると思います

また
2つの消失点の距離が2aより短くなると
画面内にも歪みが出やすくなるので
広角っぽい絵になります

逆に
2つの消失点の距離が長くなれば
望遠っぽい絵になります

なお
消失点が画面外に出る場合の考え方を知りたい方は
消失点を決めずに描く「真ん中ー真ん中分割法」
も参考にしてみてください

もちろん、これは
厳密な解決策というより
描き分けの感覚をつかむための
考え方です

それでも、広角・標準・望遠を
まったく手がかりなしに描き分けるより
2つの消失点の距離を目安に考えた方が
ずっと描きやすくなると思います

実際に描くときは消失点にこだわりすぎない

おそらく上級者になると
画面の収まりや見せ方の感覚を
基準に描いていて
そもそも消失点を強く意識していない人も
多いのではないかと思います

だからこそ
2つの消失点の距離で
「広角」「標準」「望遠」を
イメージする考え方は
初心者や中級者にとって
良い橋渡しになるのではないかと思います

僕自身も、消失点を使って
きっちり計算で形を割り出す
という描き方はあまりしていません

時間がかかるうえに
計算通り、正確に描いても
意外と不自然に見えることがあるからです

消失点はあくまで参考として使い
最終的には画面の収まりがよく
不自然に見えないように
目で調整しています

実際のスケッチで消失点を確認してみた

試しに
自分で描いた現地スケッチから
消失点の位置を割り出してみました

2枚の現地スケッチの建物から線を延長し、左右の消失点の位置と画用紙の幅に対する間隔を比較した図
2枚の現地スケッチから確認した消失点の位置と間隔

建物の大きさや
建物に対する角度が違うので
厳密な比較はできませんが
消失点の距離が近い下の絵の方が
対象に近づいて描いています

これは理論を証明するための比較ではなく
普段描いているスケッチが
どのくらいの消失点間隔になっているのかを
後から確認した例です

どちらも消失点間の距離は
画用紙の幅の2倍くらいになっています

大ざっぱに言えば
このあたりは
上で書いた「歪みにくい範囲」に
収まっていると考えられそうです

厳密な公式ではありませんが
まったく何の足がかりもなく消失点を設定するよりは
かなり使いやすい考え方だと思います

まずは
「画面幅に対して
消失点同士の距離が近いか遠いか」
を見るだけでも
広角・標準・望遠の違いを
意識しやすくなると思います

視円錐や画角の考え方については
以下のページを参考にしました
http://negucomic.blog66.fc2.com/blog-entry-21.html

もっと詳しく知りたい方は
「視円錐」で検索してみてください
視界の広さや歪みとの関係を解説した記事が
見つかると思います

あわせて読みたい

パースを正確に描くこと自体が
絵の目的ではありません

大切なのは
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だと思います

パースを含めた絵の知識を
どんな順番で使えばいいのかは
絵づくりの全体像を整理した記事で
まとめています
絵を描くときに考えることを整理する

また
広角・標準・望遠を
どう描き分けるかだけでなく
どんな印象を与えるために使うのか

まで知りたい方
広角・望遠による見え方や
画面の印象を学べる本を見る

ABOUT ME
後藤太郎
アニメ背景美術の仕事に17年間携わり、現在はフリーのイラストレーターとして活動しています。 このブログでは、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりして分かったことをまとめています。 詳しい経歴・制作実績は、画面下部の「運営者情報」からご覧いただけます。