ビルを一棟なら描けるけど
ビル群になると
何を基準に整理すればいいのかわからない

そんな方に向けて
ビル群を描くときに僕が意識している
考え方とチェック方法をまとめました

ビル群を描くときは
一棟ずつ細かく描くのではなく
まず全体を「凸凹した大きなかたまり」
として捉えます

そのうえで

  • 手前と奥のコントラスト
  • 遠景、中景、近景のまとまり
  • 大通りや区画の流れ

を整理すると
ビルが多くても見やすく
距離感のある画面にしやすくなります

僕は17年ほど
アニメ背景の仕事で
街並みやビル群を描いてきました

この記事では
その中で身につけた考え方をもとに
ビル群を整理するときの
判断基準を紹介します

あくまでも
僕自身の経験則によるものですが

ビル群がまとまらないときの
確認方法の一つとして
参考にしてもらえたらと思います

大前提として
白黒にしたときに
絵としてわかりやすいことが大切です

そのため、今回の記事では
明暗がわかりやすいように
セピアのモノトーンで
説明図を作成しています

コントラストを距離感の目安にする

手前から奥に向かって光と影のコントラストが弱くなる説明図
手前ほど光と影のコントラストを強く、奥ほど弱くして距離感を整理した図

僕は、ビル群を描くときに

光と影のコントラスト ≒ 距離

として考えることがあります

現実の光の強さは、単純に
距離だけで決まるわけではありません
(空気中の埃などの影響でも減衰します)

ただ、絵として整理するときには
手前ほどコントラストを強く
奥へほどコントラストを弱くすることで
距離感を表現しています

正確な物理法則というより
画面をわかりやすく整理するための
考え方です

特に
引きの画面でビル群を見せたいときや
短時間で街の奥行きを整理したいときに
使いやすい考え方です

一方で
逆光や霧、夜景などでは
手前と奥のコントラストの関係が
この通りにならないこともあります

凸凹した大きな立方体として考える

ビル群を描くときは
多くの直方体の組み合わせ
として考えるよりも
「凸凹した一つの大きな塊」を
描くつもり
で考えています

いくつもの直方体を一つずつ描こうとすると
それぞれを個別に見すぎてしまって
陰影の付け方や距離感が
ちぐはぐになりやすいです

そうならないように
まずはビル群全体を下図の青い四角のように
大きな直方体と考えたうえで
「凸凹した一つの大きな塊」として捉えます

ビル群を描くときのチェックポイント

ビル群をチェックするときは
ビルの一つ一つを細かく確認するのではなく
距離感の基準になる角だけを
見るようにしています

たとえば、一番近くに見せたい角と
一番遠くに見せたい角
中間の距離にある角を決めます

そのうえで
それぞれのコントラストと距離感が
適切に見えているかを確認します

下図の赤丸を付けた角のコントラストを確認して
距離感がおかしくなければ
他の角の距離感も大きく狂ってはいないと
判断します

距離感の基準となるビルの角を赤丸で示した図
近景・中景・遠景の基準となる角を決め、そのコントラストから距離感を確認します

全部の角の距離感を
同じようにチェックしようとすると大変です

距離感の基準になるポイントを決めて
チェックするのがおすすめです

なお、ビル群や街並みでは
消失点が画面外にあって
線を取りにくいこともあります

そういう場合は
消失点を決めずに奥行き方向の線を考える
「真ん中ー真ん中分割法」
の考え方も参考になります

遠景・中景・近景の3層に分けて整理する

多少わざとらしく見えることもありますが
ビル群は遠景・中景・近景の
3層に分けて考える

見やすく、描きやすくなります

写真加工をしたり、時間をかければ
遠くまで連続したビルの繊細な距離感を
細かく描けてしまいますが
情報量が多くなりすぎて
画面が見づらくなることもあります

そこで
遠景・中景・近景のグループに分け
それぞれの明暗のコントラストを整理する
ことで
情報量を減らします

ビル群の近景・中景・遠景でコントラストを変えた図
近景はコントラストを強く、遠景ほど弱くすることで、ビル群の距離感を整理します

細かい距離感を表現するよりも
大きなまとまりとして見せた方が
早く描けますし
ビル群として伝わりやすくなります

区画を意識してビル群を見やすくする

ビル群を凸凹した一つの大きな塊として捉える説明図
一棟ずつ分けて見る前に、ビル群全体を凸凹した一つの大きな塊として捉えます

個人的には、引きの俯瞰でビル群を描く場合
「大通りなんだろうなーって部分を
いかにかっこよく描くかしか考えていない」

と言っても過言じゃありません

大通りの影面を使って区画をまとめると
画面が整理されて
ビル群として見やすくなります

また、大通りや区画の流れが見えることで
ビルがたくさん並んでいるだけでなく
街としての構造が伝わりやすくなり
画面の説得力が上がります

ただし、区画の流れを見せるだけでは
単調になりやすいので
ところどころ大きなビルで隠したり
広場や駐車場のような空間を入れたりして
変化をつけます

このあたりの見せ方は
ビル群を描くときの
腕の見せ所だと思います

大通りで視線を誘導する

大通りは
視線誘導としても使いやすいです

描きたい建物を先に描いたら
その建物同士の空間を
大通りでつないでいくように考えます

下図のように主役になる建物を描いたあと
まず大通り沿いの建物を描き
不自然にならないように
隙間の空間を建物で埋めていくと
街全体の流れを作りやすくなります

大通りを軸にビルを配置する手順の説明図1
先に主役となる建物を配置し、建物同士をつなぐ大通りの流れを決めます
大通りを軸にビルを配置する手順の説明図2
大通り沿いに建物を配置し、残った空間を埋めながら街全体をつなげます

ビルを一棟ずつバラバラに考えるよりも
大通りを軸にして整理した方が
描きやすく、見やすい絵に
仕上げやすいです

まとめ

ビル群を描くときは
一つ一つのビルを細かく描く前に
まず全体を大きなかたまりとして見る
ことが大事です

そのうえで

・手前と奥のコントラストの差
・遠景、中景、近景のまとまり
・距離感の基準になる角
・大通りや区画の流れ

を確認すると
ビル群を整理して描きやすくなります

結局のところ
ビル群も立方体表現の延長にあります

ただ直方体をたくさん並べるのではなく
明暗、距離感、かたまり、区画を使って
画面として見やすく整理することが大切です

僕自身、背景の仕事を続ける中で
派手な仕上げのテクニック以上に
基本の精度を上げることの大切さ
を感じるようになりました

基本という土台がしっかりしているほど
仕上げの見栄えも良くなります

ビル群がうまくまとまらないと感じたときは
細部を描き込む前に

  • 大きなかたまり
  • 手前と奥のコントラスト
  • 遠景、中景、近景
  • 大通りや区画の流れ

の順に見直してみてください

ビル群を遠景・中景・近景に分けて
描き込み量やコントラストを整理する方法は
「遠景・中景・近景の3層で距離感を描き分ける方法」
で詳しくまとめています

また、パースだけでなく
光や色、画面構成を含めて
絵づくりのどこを見直せばよいか知りたい方
「絵づくりの全体像を整理した記事」
も参考にしてみてください

ABOUT ME
後藤太郎
17年ほどアニメ背景美術の仕事をしてきました。現在は、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりしながら気づいたことを発信しています。