絵の主役が目立たないときの考え方|明暗・色・描き込みで画面に差をつける
絵を描き込んでいるのに
なぜか主役が目立たない
そんなことで悩んだことはないでしょうか?
私はアニメーションの背景を17年間描いてきましたが
背景を描くときも
写真に写っている情報を
すべて同じように描くわけではありません
主役を目立たせるためには
主役を強くするだけでなく
周囲の情報を弱くして
画面の中に差をつけることが重要です
写真に写っているものを丁寧に描いて
明暗や色もそれなりに再現しているのに
画面全体を見ると
どこを見ればいいのか分からない絵になってしまう
ことがあります
原因の一つは
画面の中にある情報を
同じような強さで描いてしまっていることです
例えば
下の写真を絵にして
遠くにあるスタジアムを主役として見せる場合を
考えてみます

遠景らしい距離感を残したまま
スタジアムに目が向くようにするには
何を変えればよいでしょうか?
この記事では
実際の作例を使いながら
距離感を残したまま
主役と脇役に差をつける方法を考えてみます
初心者は「距離」と「主役」を分けて考える
私自身、実際に絵を描くときは
完成イメージを考えながら
距離による強弱と
主役を目立たせるための強弱のバランスを見ながら
描き進めています
しかし
まだ情報のコントロールに慣れていないうちは
この2つを同時に考えるのは難しいと思います
そこでこの記事では
分かりやすいように
- 距離に応じて画面を整理する
- 主役に合わせて強弱を調整する
という2段階に分けて考えます
実際の制作で
必ずこの順番で描く必要があるという意味ではありません
まず距離感が破綻しないように画面を整理し
その土台の上で
主役と脇役の差をつけてみます
距離に応じて画面を整理する
遠景・中景・近景を同じ強さで描くのではなく
遠くにあるものほど明暗差や描き込みを弱くするなど
距離に応じて画面の強弱を整理します
距離による画面整理について詳しく知りたい方は
「遠景・中景・近景の3グループで整理する考え方」と
「距離に応じて明暗・コントラスト・描き込みを整理する考え方」
も参考にしてみてください
下の図は
参考写真をもとに
遠景・中景・近景の距離を意識して描いたものです
この作例では
階調数やコントラストを調整し
遠くに青みを加える
手前の彩度を残すなど
距離に応じて画面を整理しています

イメージとしては
下の図のように
距離に応じて画面の強弱を割り当てた状態です

ただし
ここまでで整理できたのは「距離」です
まだ「どこを見せたいのか」は決まっていません
そこで次に
主役に合わせて画面を調整します
主役に合わせて強弱を調整する
特に絵を描き始めたばかりの頃は
頑張って描き込むほど
主役以外の情報まで強くしてしまうことがあります
意外かもしれませんが
情報を増やすことより
必要のない情報を減らすことの方が難しいです
主役を目立たせるときも
主役に描き込みを足すだけでなく
周囲の明暗差を弱くする
彩度を落とす
描き込みを減らす
といった方法があります
作例で主役の見え方を比べてみる
実際には画面全体を見ながら調整しますが
今回は分かりやすいように
スタジアムを中心に主役を目立たせる例を
いくつか見てみます
下図の左側は全て同じ絵です
スタジアムが遠景なので違いが分かりにくいかもしれませんが
右の絵では
何を変えることでスタジアムを目立たせているのか
考えながら見比べてみてください
違いを比較しやすいように
同じ絵をもとにして
主役を目立たせる要素を一つずつ変更しています

集中線のように視線を主役へ誘導しています

情報量に差をつけることで主役へ視線を集めています

形をはっきり見せることで主役を目立たせています
主役を目立たせる明暗の作り方を
実際に手を動かして練習したい方は
少ない階調で明暗と主役の見え方を確認する練習も
参考にしてみてください

遠景の中でも主役を見つけやすくしています

色相の差を作ることで主役へ目を向けやすくしています

周囲より色の情報量を増やすことで
主役へ視線を集めています

周囲の空などを暗くして明暗差を作ることで
主役を目立たせています
上の例では分かりやすいように
それぞれ一つの方法を使って調整していますが
実際には複数の方法を組み合わせることもあります
必要な方法を選んだり
組み合わせたりしながら
主役に目が行くように調整してみてください
明暗差だけで十分目立つのであれば
彩度も描き込みも強くする必要はありません
大切なのは、すべてを強くすることではなく
必要な差だけを作ることです
どの方法を使うかは
元の写真や見せたい印象によって変わります
実際のアニメ背景で
色・描き込み・雲などを使って主役を目立たせた例は
実際の背景制作で主役を目立たせる工夫をした作例でも
紹介しています
主役を目立たせる方法を整理する
今回の作例では
視線を誘導する方法も使いましたが
主役と周囲に「差」をつける方法として
明暗・色・描き込み・情報の粗密などを利用できます
- 明暗のコントラスト
主役の中の明暗差を強くしたり
主役と周囲の明るさに差をつけたりする - 彩度のコントラスト
主役の彩度を上げたり
周囲の彩度を落としたりして差をつける - 色相のコントラスト
主役と周囲で異なる色味を使い、差を作る - 描き込みのコントラスト
主役は細部まで描き、脇役は省略する - 粗密のコントラスト
主役の周囲に情報を集め、他の場所を単純にする
など
描き込みと粗密は似ていますが
このように考えると区別しやすいと思います
スタジアムそのものの窓や構造を細かく描く
→ 描き込みのコントラスト
スタジアム周辺だけ建物や形の情報を集め
それ以外の場所を単純にする
→ 粗密のコントラスト
好きな絵から主役を目立たせる工夫を探してみる
自分が魅力的だと思った絵をよく見て
どのような工夫がなされているのか考えてみてください
好きな絵を見つけたら
- どこが一番目立っているか
- なぜそこに目が行くのか
- 主役が強いのか
それとも周囲が弱くされているのか
を考えてみてください
一度、実際に手を動かして真似してみると
理解が早いと思います
まとめ
主役が目立たないときは
主役だけを描き込むのではなく
主役を強くする
周囲を弱くする
という両方から考えてみてください
そのうえで
距離感を壊さない範囲で
必要なコントラストを選んで調整します
【あわせて読みたい】
今回のような判断を
実際に手を動かしながら練習したい方は
目的別に基礎練習を選べる練習まとめから
自分に合う練習を探してみてください
主役・視線誘導・明暗・色・空間などが
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絵作りに必要な知識と、それぞれの関係を整理した全体像も
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