絵についてのおすすめ本 PR

「絵」を勉強するのにおすすめの本(難易度・読む順番)

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絵を描くためには多くの知識が必要です
下図のように色や光、構図、パース、画材…覚えるべきことがたくさんあります

そのため絵を学び始めたばかりの人は
まだ自分に必要な知識が何なのかもわからず
「どの本を読めばいいのか?」
「どの順番で読むのが効率的なのか?」
と悩むこともあるでしょう(僕がそうでした!)

絵に関する本は高価なものも多く、読むのに時間もかかるため
できるだけ効率よく学びたい!と思う人も多いと思います
さらに、専門書籍は関連書籍とあわせて読まないと理解しづらいこともあります

そこで、僕が実際に読んで「本当に役に立った!」と思った本
おすすめの読む順番や難易度、関連書籍を紹介します

適切なときに、適切な本に出会う機会になれば幸いです

全般について

学び始めは、いきなり専門的な内容の書籍を読むより
幅広い内容がまとまっている本を読むことで

  • 今の自分に必要な知識は何か?
  • どの部分についての知識を深く学ぶべきか?

を見極める方が良いのではないかと思います

「絵の勉強を始めたいけれど、何から手をつけていいのかわからない」
そんな方に、まずおすすめしたいのが
デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則(改訂版)です

デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則(改訂版)

デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則(改訂版)
色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き

https://amzn.to/42oyQIa

この本を一言で言うと
「アーティストが知っておくべき、アートの原理・原則がまとめられた本」です
まさに、タイトルの通りだと思います
初級者~中級者にお勧めです

タイトルには「デジタルアーティストが知っておくべき」とありますが
本書ではフォトショップなどのデジタルツールの操作方法には一切触れられていません
この本で解説されているのは、以下のようなアートの基礎理論です

  • 構図
  • 解剖学
  • 遠近法

「はじめに」では、こうした理論や原則を理解することこそが
画材やスキルの有無に関係なく成功につながる
というメッセージが書かれています

西洋美術の歴史をふまえながら
色・光・構図・遠近法といった基本をわかりやすく解説されています

図や作例が豊富でわかりやすく構成されていますが、内容を簡潔にまとめているぶん
初心者には少し説明不足に感じられる部分もあるかもしれません
難易度としては
初心者にはやや難しく、中級者には少し物足りないという位置づけだと思います

もちろん、この1冊ですべてを網羅できるわけではありませんが
一通り目を通すことで
「自分に今、どんな知識が必要か」を洗い出すきっかけになると思います

 

詳しくは下の記事で紹介しています

まずは、この本から「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則(改訂版)」「絵の勉強を始めたいけれど、何から手をつけていいのかわからない」 そんな方にまずおすすめしたいのが 『デジタルアーティストが知ってお...

色や光について

色と光 マスターガイド イラスト上達のための理論と実践

色と光 マスターガイド イラスト上達のための理論と実践
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一言で言うと
「色や光に関する理論や考え方を、根拠をもとに丁寧に解説してくれる本」です
絵を描くうえで必要な色や光の知識が、この一冊に網羅されています

図解が多く視覚的にもわかりやすいですが、内容は本格的で難易度は高めだと思います
理解するのに時間はかかるかもしれませんが
絵を描く人ならいずれは必要になる知識ばかりです
中級者~上級者向けだが初級者から手元に置いておくことをお勧めします

内容は「理論編」と「実践編」の2部構成

  • 理論編:色や光の仕組み、陰影、反射などを科学的に解説
  • 実践編:絵具、デジタルを使った3手法による制作プロセス

 

こんな人におすすめ

  • 色や光の正しい理解を深めたい初心者〜中級者
  • アナログ・デジタル問わず絵を学びたい人
  • 自分の専門外にも興味があるアーティスト
  • 手元に置いて何度も見返せる「絵の辞書」が欲しい人

 

今すぐに全部を理解できなくても
「そのうち理解しなきゃな〜」と頭の片隅に置いておくだけで
きっと行動が変わってくると思います
だからこそ、この本はできるだけ早いうちに持っておくことをおすすめします

 

詳しくは下の記事で紹介しています

『色と光』──絵描きのための“辞書”的ガイド。ずっと手元に置いておきたい一冊色と光 マスターガイド イラスト上達のための理論と実践 https://amzn.to/3RCek22 (個人的には電子より紙...

 

パースについて

僕は主に建築家が書いたスケッチ本と
大学(機械工学科)の製図の授業でパースを身につけました

建築家のスケッチ本は作例が多く
解説の内容や難易度もさまざまなので
今でもイラスト教本より理解しやすいのではないかと思います

ただし、建築パースで学ぶ1~3点透視図法は作図法として正確さを求めるものです
一方で、漫画やイラスト、アニメの作図ではカメラレンズの効果や
「俯瞰は客観性を表す」といった心理的効果を用いた「表現」が重視されます
そのため、作図の正確さよりも「自然に見えるか」「意図に沿った表現になっているか」が重要になってきます

そこで、建築パースで1~3点透視図法を学びつつ
並行してイラストや漫画、アニメで求められる知識を身につけるのが
良いのではないでしょうか

また、僕自身、アニメ背景の仕事を17年間経験しましたが
就職して1年ほど経った頃からは、厳密な透視図法に頼るのではなく
少しずつ消失点を曖昧にして描くようにシフトしていきました
その理由は次の2点です

消失点を設定した透視図法の欠点

  • 作業に時間がかかる
  • 必ずしも自然に見えるとは限らない

 

ここではイラストレーター、アニメーターが書いた本を紹介します
どちらも1~3点透視の基本には触れていますが
パースの基本を理解している人向けの実践的な内容と思います

  • 「吉田誠治作品集&パース徹底テクニック」
  • 「アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術」

 

1~3点透視図法などのパースの基礎を学びたい方は
本屋で多くの建築パースの本の中から
一番わかりやすいものを自分で選ぶのが良いと思います

吉田誠治作品集&パース徹底テクニック

吉田誠治作品集&パース徹底テクニック
吉田誠治 (著)
https://amzn.to/42BzW4e

難易度:中級者向け
この本だけでパースを理解するのはハードルが高いかなと思います

この本を読めば
プロのイラストレーターがパースを使って
どのようにものを見ているのかという視点がわかります
また、パースを使わずに背景を描くコツも書いてあるので
パースをマスターした方にとってはステップアップのヒントになると思います

 

おもな内容

  • 写真から消失点を探す
  • 身近なものの人物対比とサイズ(机、いす、ドア、車など)
  • 魚眼パース
  • 人物からパースを決める
  • パースを使わずに背景を描くコツ
  • 消失点のない自然描写のコツ

 

アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術

アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術
室井 康雄(アニメ私塾) (著)
https://amzn.to/4pz1xNC

難易度:上級者向け
パースの知識だけでなく
望遠・広角などのレンズの基本的な知識がないと理解できない部分があります

この本を読めば、
アニメーターが、どのような点に配慮して作図しているのかがわかります

 

おもな内容

  • 身近なものの人物対比とサイズ(机、いす、ドア、車など)
  • 広角・望遠の描き分け
  • レイアウトと視線誘導
  • 画面上に配置した人物にあわせて背景を描く(パースを使わない)
  • イラストの添削例(演出意図にあわせた作図)

 

混色について

混色が苦手!という人の中には、固有色は塗れるけれど
明るい色や影の色にどんな色を使えばいいのかわからなくて色が作れない…
という人もいると思います

ただ、「明るい色や影色にどんな色を使えばいいか」という問題は
実は混色とは別の問題になりますので、ここでは扱いません

ここで紹介するのは、次の2冊です

『色彩・配色・混色:美しい配色と混色のテクニックをマスターする』
目の前の作りたい色を「色相・彩度・明度」に分けて分析し、混色で再現する方法が書かれています

『大人の水彩画塾(三原色を極める)』
赤・青・黄の三原色だけを使って絵を描く方法が書かれています

色彩・配色・混色:美しい配色と混色のテクニックをマスターする

色彩・配色・混色:美しい配色と混色のテクニックをマスターする
ベティ・エドワーズ (著)、高橋早苗 (翻訳)

https://amzn.to/4ndmAE3

初級者にお勧めです

この本は「色彩を理解し」「配色、混色ができるようになる」ための
ワークショップを書籍化した内容で
ステップごとの課題を通して理解を深めていきます

タイトルのように「色彩」「配色」「混色」についての本ですが
僕が特にお勧めしたいのは「混色」についてです

混色では目の前にある作りたい色を
「色相 → 明度 → 彩度」の順で色を見極めて
混色で再現する方法が解説されており、実習を通じて混色の理解を深めることができます

目の前の静物の色が絵具で再現できれば
光や色の知識がなくても絵として描くことができるという考え方で
静物画を描く課題もあります

「なんとなく混ぜる」から脱却し、色を理論的に捉えて再現できるようになれる
混色初心者に特におすすめの一冊です

詳しくは下の記事で紹介しています

なんとなく混ぜるのはもうやめた!混色の考え方と色を見極める力がつく本『色彩・配色・混色』絵を描いている方の中には 「混色がなんとなく苦手…」と感じている方も多いのではないでしょうか? 僕自身、アニメ背景会社に就職してから...

 

大人の水彩画塾 (三原色を極める) 青江健二 (著)

大人の水彩画塾 (三原色を極める)
青江健二 (著)
https://amzn.to/3HSBrUO

透明水彩の赤・青・黄の3原色だけを使って描く方法をまとめた本です

・3色で作った黒のモノクロ画
・卓上静物画
・風景画
といった丁寧なメイキングと、多くの作品ギャラリーが中心になっています

「3色で描けるの?」と思う方もいるかもしれません
もちろん3色では、きれいな紫や青緑など作れない色もあります
それでも思った以上に多くの色を作ることができるんです

作りたい色が「もっと赤っぽいのか、青っぽいのか、黄色っぽいのか」と
シンプルに考えることができるので、混色の初心者におすすめです

僕もアニメ背景会社に就職した当時は混色が苦手でしたが
ある背景会社では
ピンク(赤)、ライトブルー(青)、レモンイエロー(黄)の3色を
ベースに混色していると聞いたので真似したところ
苦手意識がすっかりなくなりました

この本で混色の基本は十分習得できると思います
慣れてきたら、作るのが面倒な茶色や
3色では作れない紫や緑などを追加していけばよいと思います

本書で使用しているのはホルベインの透明水彩です
・ピロールレッド(赤)
・イミダゾロンレモン(黄)
・フタロブルー レッドシェード(青)

色相環・配色について

配色の教科書

配色の教科書-歴史上の学者・アーティストに学ぶ「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会 (著) 城 一夫 (監修)

https://amzn.to/4n4w6Zm

色の使い方に悩んでいる中級者や、古典絵画の色の考え方を知りたい方におすすめです

この本のおもな内容は以下の3つです

  • 色相環や色の調和についての歴史
  • 色相環の発展が画家に与えた影響と具体的な作品例
  • 現代の建築・工業製品・ファッションにおける色の使われ方

 

この本を読めば
学者がどのように考えて色相環を発展させたのかという歴史と
その色相環や色の考え方に影響を受けた画家が
具体的にどのような作品を制作したのかを知ることができます

水彩画や油絵で「黒は使わない」と聞いたことがある方もいると思いますが
本書では純色・白・黒を頂点とする「カラートライアングル」を使って
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ターナー、エル・グレコの配色が紹介されています

この本を読むまで
微妙に違う色相環やカラートライアングルなど
どうしてこんなに多いの?と疑問に思っていましたが
具体的に「カラートライアングル」を使って
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ターナー、エル・グレコの配色が解説されている図を見て
なるほど!と腑に落ちた気がしました

今まで、色相が近い色や離れた色同士を混色して
彩度や色相をコントロールすることで色を作ってきました
しかし、白、黒、グレーに色を付けて色を作った方が
より厳密に明度、彩度、色相をコントロールできるのでは?と
思うようになりました

絵具で描く方だけでなく
色相環を使って色を選んでいるのであれば

デジタルで制作する方にとっても色選びのヒントが得られる本だと思います

構図について

アニメ背景会社に入ったばかりのころ
構図を勉強したくて写真や絵画の本を何冊か買いました
しかし、どの本にも黄金比や三分割法、三角構図といった解説ばかりで
僕が本当に知りたかったことは、あまり書かれていませんでした

当時の僕は「構図」=「配置」だと思い込んでいたので
うまく探せなかったのかもしれません

ところが最近になって
何冊か本を読んでみると、僕が知りたかった【構図】とは
【構図】=「視線・感情・ストーリーの誘導」
ということでした

そしてその【構図】を実現するには、次のような知識や技術が必要になります

  • 配置のバランスやリズム
  • コントラスト(明度、色相、彩度、大きさ、シルエットなど)
  • レンズ(広角、標準、望遠など)
  • 画角(あおり、俯瞰、正面など)

ここからは、
【構図】=視線・感情・ストーリーの誘導】を学ぶのに役立つ本を紹介します

Vision ーストーリーを伝える:色、光、構図

Vision ーストーリーを伝える:色、光、構図
ハンス・P・バッハー ,  サナタン・スルヤヴァンシ(著)
https://amzn.to/426oRZ5

難易度:初心者~上級者

この本は多くの参考画像と共に
ライン、シェイプ、明暗、色など、画を構成する要素を解説しています
参考画像を見て理解するスタイルで文章による解説は最小限です

僕は、この本の作例を真似して描いてみることで
あれ?となったり、じゃあこれは?となったりと
疑問がわいたり、今までの知識が繋がったりしました

パラパラとめくるだけでもテンション上がりますが
この本は作例を参考にして実際に描くことで
読むだけでは理解できないことが理解できるようになれると思います
回答例つき問題集として使うことをおすすめします

「Vision」には解説が少ないので
「Vision」を読む前に次で紹介する「風景画のレッスン」を読むと
「視線誘導」や「2~5色のグレーで描く」などが
理解しやすいです

風景画のレッスン

風景画のレッスン  形・構図・色の基礎知識
ミッチェル・アルバラ (著)
https://amzn.to/4nfcPV2

難易度:初心者~中級者

形、明暗、構図、色など
画を構成する本質的な内容がわかりやすくまとめられていて
シンプルな課題が10個用意されています

写真に矢印を描いたりトリミングする課題で
視線誘導について理解できました

filmmaker’s eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方

 

filmmaker’s eye レンズの言語:映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方
https://amzn.to/4pfq6Pe

難易度:初心者~上級者

  • 望遠、標準、広角などのレンズの歪み方の解説
  • 実際の映画のカットの解説

この本は上記の2つの項目で構成されていて
実際の映画のカットを題材にして
Visionでは触れられていないカメラワークやカット繋ぎ、フレア、歪み、ピント送りなど
広角・標準・望遠だけでないレンズの特性を活かした表現が解説されてます

難点として
実際の映画のカットが連続写真として掲載されているんですが
中には、実際にどんな映像なのかが想像しにくいものもあります
この点に関しては映像は映像で学んだ方がラクだなと思いました

この本に関しては以下の記事で詳しく紹介しています

『こんな映像にしたい』を形にするレンズの辞書!「レンズの言語」この本をひとことで言うと filmmaker's eye  レンズの言語 映画に学ぶ画作りとストーリーの伝え方 グスタボ・メルカー...

ネイサン・フォークスが教えるランドスケープ水彩スケッチ(光と空気、印象を1時間でとらえる方法) 

難易度:初心者~中級者

「Vision」の著者と同様にアニメーション映画の美術制作に長く関わってきた著者が
屋外スケッチを中心に
透明水彩で短時間で印象をとらえる描き方に特化した本です
絵の基礎の解説と水彩画のメイキング、作品ギャラリーで構成されています

  • 模写
  • 色数を絞って描く
  • 同じ場所で色々な時間帯を描く
  • 小さく描く

などアニメーション美術家らしい練習方法や
Visionでは触れられていない
シンプルに描くための考え方や描き方がまとめられています

 

映像演出について

映画やアニメの構図を参考にする場合は
「なぜそのような構図なのか」という演出意図を理解していた方が
アレンジしやすくなります

上手(かみて)・下手(しもて)、レンズ、フレーミングによる心理的効果は
映画やアニメといった映像表現だけでなく、漫画やイラストにも応用できる表現です

たとえば「視聴者から見て画面の右側(上手)のキャラクターは
左側(下手)のキャラクターよりも存在感があり強く見える」とか
「俯瞰は客観性を表す」といった効果などがあります

また、カメラワークや移動速度などは映像ならではの表現ですが
イマジナリーラインやモンタージュといった手法は漫画にも応用可能です
ご自身に必要そうな部分だけでも触れてみると、ヒントが見つかるかもしれません

アニメ鑑賞が爆爆爆爆爆発的におもしろくなる演出の話

アニメ鑑賞が爆爆爆爆爆発的におもしろくなる演出の話
鈴 (著) ワニブックスPLUS新書
https://amzn.to/4mupy5J

難易度:初心者向け

「演出って何?」という初心者の方にお勧めです

アニメを作るときに考える基本的なことが一通り書かれています
読めば「へぇ~、アニメってこういうことを考えながら作っているんだ!」と
理解できると思います

プロ志望の方には物足りない内容かもしれませんが
自分にとって必要な部分だけでも読んでみれば
次に読む本を選ぶ際のヒントになると思います

 

主な内容

  • アニメ演出家の仕事内容
  • カメラワーク、フレーミング、上手・下手の心理的効果
  • 効果音、セリフ、動作、小物などの芝居
  • レンズ
  • 色の使い方
  • ジャンル別アニメ鑑賞の極意    など

 

映像の原則 改訂二版

映像の原則 改訂二版
富野由悠季 (著) キネマ旬報ムック
https://amzn.to/4n7Nug9

難易度:初心者~上級者向け

僕が読んだのは改訂版(2011年)です
2002年発行で2024年に二改訂版が出ているので
長く読まれ続けている良書といえると思います

対象は初心者からとなっていますが、言い回しがわかりにくいので
この本を読む前に上記の
「アニメ鑑賞が爆爆爆爆爆発的におもしろくなる演出の話」を
読んで、一通りの知識を頭に入れてから読んだ方が
わかりやすいかもしれません

アニメだけでなく、実写についても言える内容になっていて
考え方や根拠まで丁寧に説明しています

  • イマジナリーライン
  • 移動の速度
  • カット繋ぎ
  • 目線

「アニメ鑑賞が爆爆爆爆爆発的におもしろくなる演出の話」では扱われていない
上記の内容も扱われています

デフォルメについて

アニメ背景でデフォルメ作品に関わったとき
先輩から「硬い」「ちぢこまっている」と指摘されたことがあります
その原因は、表面上の形だけを崩して「描けたつもり」になっていたからだと思います

上手いデフォルメには「動き」や「リズム」があります
僕はアニメ背景の仕事で、先輩の背景画を真似して大量に描く中で
それらを理解し、手で覚えていきました

「正確に描く」ことと「雰囲気を出す(デフォルメする/何かを表現する)」ことは
両立が難しい関係にあります
正確に描けば雰囲気は出にくく、雰囲気を重視すれば正確さからは遠ざかります

デフォルメ作品に慣れていなかった頃の僕は
思い切って崩したつもりでも全然足りなかったり
単に形が狂って見えるだけだったりして、良い雰囲気に見せる加減がわかりませんでした

もし「絵で雰囲気を出せるようになりたい」と思うなら
上手い絵を模写して「崩し方」や「リズム」「考え方」を頭と手で覚えるのがおすすめです

以前、アメリカの美大を卒業した方に教科書を見せてもらったことがあります
そこでは、円柱や小麦袋の「つぶれ」「ねじれ」といった超基本的な形の模写から始まり
その後に人物への応用へと進んでいました
「こんな簡単なものから模写させるのか!」と驚きつつ、「やっぱり単純な線画から模写することが大事なんだ」と実感しました
それ以来、描くまでもないと思うような簡単な作例でも模写するよう心がけています

ロレンツォのドローイングチュートリアルvol.1

ロレンツォのドローイングチュートリアルvol.1
HOW TO THINK WHEN YOU DRAW
ロレンツォ・エザリントン (著)
https://amzn.to/4mEYRLB

難易度:初心者~上級者向け

 

◎この本の特徴

  • 参考例だけでなく、注意点・考え方・根拠まで書かれている
    → 作例を模写することで応用できる知識と技術を身につけられる
  • 単体のデフォルメイラストにとどまらず、一枚絵としての
    ・画面構成
    ・視線誘導
    などのコツにも触れている

    → イラスト・マンガ・アニメ・映画などに共通する「カッコいい画面」     を学べる

  • 自然物・人工物・人物・動物など参考例の幅が広く、収録数も膨大
    → 困ったときの辞書代わりにも使える

 

◎この本の主な内容

  • キャラクターデザイン
  • 動物
  • 車や機械
  • レイアウト
  • 自然物
  • 空想の建築物

 

コンセプトアートについて

コンセプトアートとは、アニメ・ゲーム・映画などのビジュアル作品を作るときに
「作品の世界観やイメージを形にして、人に伝えるための絵」 のことです

一言でコンセプトアートと言っても、用途によって求められる役割が違うので
役割を理解したうえで描きわける必要があります
ここでは代表的な3つの用途を紹介します
コンセプトアートについての本を手に取るときにも
どの用途に特化した内容なのかを意識した方が学びやすいと思います

コンセプトアートの3つの用途

  • 出資者向けプレゼン資料
     作品の完成イメージを想像させる完成度(見てワクワクさせるもの)
  • 作品の方向性(コンセプト)を決めるためのアイデア出し
     ラフで大量に(とにかく多様性が必要 失敗を恐れない)
  • 制作者のイメージ共有のための設計図
     色、構造、スケール感など具体性を重視

ゲーム、アメリカの映画など大規模の制作現場では
コンセプトアーティストもさらにデザイナーペインターに役割が分かれることがあります

  • デザイナー:主に線画(シルエット)で世界観をデザイン
  • ペインター:主に色で世界観をデザイン 

 

小規模の現場では両方担当することもありますが
大規模プロジェクトでは適した一方を担当する場合があります
会社や作品によって違う場合もあるようです

コンセプトアーティストを目指すなら
最初は線も色も両方できるように練習する必要があります
ただし、最終的には 「デザイン寄り」か「ペイント寄り」かを
打ち出す必要があるかもしれません
両方の技術と知識を伸ばすほど時間の余裕がないからです
どちらも中途半端だと、プロの現場では評価が難しくなってしまいます

「線」と「色」どうやって選ぶか?
「好き」と「得意」を意識する

  • 「好き」↔「苦手(嫌い)」
    自分の内面から判断
     (周囲と比較しても変わらない自己評価)
  • 「得意」↔「不得意」
     周囲との相対的な評価
     (周りが自分より上手ければ、自分の評価は下がる)

早い段階で「自分は線が好き」か「色が好きか」を意識しておくと
専門性を磨く方向性が見えやすくなります

 

トミーのコンセプトアート教室

トミーのコンセプトアート教室
マンガと添削で楽しく学べる!

富安 健一郎 (著)、 佐倉 おりこ (イラスト)
https://amzn.to/4gYG8tn

難易度:初級者向け

 

「コンセプトアート」「考え方」であって「描き方」ではない
この一言が、この本の内容をよく表していると思います

今ほど「コンセプトアート」という言葉が知られていなかった2020年に出版された本で
「コンセプトアートとは何か」
「どんな目的で描かれるのか」
「どんな場面で使われているのか」
といったことを、マンガでわかりやすく解説した入門書です

「それっぽく描く方法」や「カッコよく描く方法」といった技術解説書が多い中で
「コンセプトアートとは何か」という考え方そのものに焦点を当てている本は
この一冊くらいではないでしょうか

おもな内容

  • コンセプトアートの考え方
  • コンセプトアートの仕事の流れ
  • コンセプトアートが上手くなるには?
    意識すること・3つの練習方法
  • 添削とメイキング

 

どんな人におすすめ?
コンセプトアートに興味を持っている人や
独学でコンセプトアーティストを目指す方におすすめです
まず「コンセプトアートとは何か」を知るために、ぜひ読んでみてほしい一冊です

 

添削やメイキングのパートでは
プロが作品をチェックする際に見ているポイントや考え方
実際のコンセプトアート制作の進め方がわかります

ただし、パースや色彩など基礎的な解説は含まれていないため
添削部分をしっかり理解するには
別の本などで絵の基本的な知識や技法を学ぶ必要があります

世界観の作り方

世界観の作り方
アイデア出しからデザインまで

わかりやすいコンセプトアート入門
有里 (著)
https://amzn.to/42tDMMZ

難易度:初級者~中級者向け

 

とにかく参考作品の物量が多いだけでなく熱量も凄い
全部描くのに、いったいどれくらいの時間がかかったのか知りたい!と思いました
隅々までこだわっていて、まるで『分厚い薄い本』(分厚い同人誌)
つい所有したくなりました

0→1(ゼロから生み出すこと)に特化した内容
ゲームで求められている条件などを踏まえたうえで
アイデアの出し方や思考のプロセスがわかる構成になってるので
何を根拠にデザインしているの?という謎が解けると思います

 

おもな内容

  • コンセプトアートの仕事の流れ
  • リサーチ・考える時間の重要性
  • 「アイデア出し」→「取材」→「デザイン」のプロセス

 

どんな人におすすめ?
アイデアが思いつかない、何を足掛かりにして考えればいいかわからない
といった人におすすめです

竜宮城を題材に、約110ページにわたって
「アイデア出し」→「取材」→「デザイン」までのプロセス
その中でどんなことを考えているのかを順を追って丁寧に解説しています

ただし、パース・色彩・ツールの使い方などの基礎的な解説はないため
そうした部分は別の本で学ぶ必要があります

「ファンタジー背景」描き方教室

「ファンタジー背景」描き方教室
Photoshopで描く! 心を揺さぶる風景の秘訣
よー清水 (著)
https://amzn.to/46YnDjU

難易度:中級者向け

 

10作品のメイキングを中心
「視線誘導」「面の表現」「オーバーレイのコツ」といった基礎的な考え方
木・山・雲・草・岩などの自然物
建築物などの人工物の基本的な描き方を解説しています

必要に応じて細かな部分まで丁寧に説明されていて実践的な内容です
まるで親切な会社の先輩が新人研修で教えてくれているような一冊だと思いました

どんな人におすすめ?
絵の基本的な知識や技術がある程度身についていて
「描き込むところ」と「描かないところ」のメリハリを意識しながら
一枚絵としての完成度を高めたい人におすすめです

絵を描くには、さまざまな知識が複合的に必要になることがよくわかります
「この知識をここで使うのか!」という発見があり
バラバラだった知識がつながったり、自分の理解度を確かめることもできるので
初級者にとっては予習
中級者や上級者にとっては復習として使える本だと思います