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『色と光』──絵描きのための“辞書”的ガイド。ずっと手元に置いておきたい一冊

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色と光 マスターガイド
イラスト上達のための理論と実践
https://amzn.to/3RCek22

(個人的には電子より紙がお勧めなんですが、在庫切れなのか
ずいぶん価格に差が出てしまっていたのでキンドルのリンクを貼っています)

 

この本を一言で表すなら
「色や光に関する理論や考え方を、根拠を持って丁寧に解説してくれる本」です

色や光に関しては
正直これ一冊で、絵を描くのに必要な知識が網羅されているのではないかと思います

「絵描きにとって色や光の知識は必要だが、厳密な理解は必要ない。
これだけ知っておけば十分!」というスタンスで書かれており
絵描きの視点から、絵を描く人にとって本当に必要な知識を
科学的な裏付けとともに丁寧に説明しています

図解も豊富で、視覚的にもわかりやすいですが
内容はかなり本格的で、難易度も高めです

私自身、アニメーション背景の仕事を17年間続けながら
さまざまな本を読んできましたが
この本については「完全に理解できた」とは言えません
それでも、絵を描くうえで知っておくべき重要な内容が詰まっているのは間違いありません

実際に読んでみた感想としては

  • 初心者にとって:「すべてを理解する」というよりも
            手元に置いておきたい“道しるべ”となる本
  • 中〜上級者にとって:「なんとなく使っていた知識」に対して
              根拠や答えを与えてくれる本

だと思います

すぐにすべてを理解する必要はありませんが
「いつか全部を理解するつもりで、できるだけ早く目を通しておく」
そんなスタンスで手元に置いておくのをおすすめします

どんな内容なのか?

この本は「理論編」「実践編」の二部構成になっていて
本来であれば2冊に分けられても不思議ではないほどの充実した内容が
1冊にギュッと詰め込まれています
そのため、普段はどちらか一方しか手に取らないであろう読者も
絵を描くうえで必要な知識を、網羅的に学ぶことができます

理論編

  • 色と光について
  • 陰影について
  • 物体表面の反射の仕組みについて

など、これらの理論は科学的根拠に基づいて、しっかりと解説されています
光のスペクトルや視神経、絵具、色相環に関する内容も含まれており
絵を描くときの考え方の背景となる理論的な根拠を示してくれているので
絵の上手な人がどのようにしてその表現を実現しているのか
その理由を理解するためのヒントが得られます

 

また、内容は上図のように
絵具を使ったイラスト、デジタルイラスト、3DCGと幅広く網羅されており
本来であれば、それぞれの分野ごとに専門書を購入しなければ得られないような知識が
この1冊にコンパクトにまとめられています

各分野ごとの知識をつなぐ「橋渡し」としても
とてもわかりやすく整理された本だと思います

そのおかげで、普段は絵具でイラストを描いている僕でも
本来なら3DCGの専門書を読まなければ得られなかったような基礎知識まで
学ぶことができました

風景画に関する本ばかり読んできた私にとって
「シェーディング」「肌の表現」「物体表面の反射」など
名前は知っていても、わざわざ3DCGや
キャラクターイラストの本を買うほどでもないかな……と思っていた内容が
この一冊にしっかりまとまっていたのはありがたかったです

逆に、デジタルイラストを中心に描いている方にとっては
絵具による混色の話は馴染みがないかもしれませんが
絵具で描かれた絵の模写などを通して絵画表現を学ぶ際には
混色の知識は、きっと参考になるはずです

それぞれの立場や表現手法に関係なく、最低限押さえておいたほうがいい内容が
バランスよく詰まっていると感じました

実践編

3つの異なる手法による制作プロセス解説とギャラリーで構成されています

  • 色替え+加筆
    曇り→晴天、曇り→早朝、曇り→夕暮れといった、時間帯や天候を描き分けるテクニック
  • 白黒→カラー(デジタルイラスト)
    (白黒ラフからカラー仕上げまで)
  • 絵具イラスト
  • ギャラリー

 

色替え

「色替え」の技術は、あまり一般的には使われる機会がないと思うので
イラストを描く方でもあまり馴染みがないかもしれません
おもにゲームやアニメ、映画業界で活用されている技術だと思います

たとえば同じ構図で「朝・昼・夕」といった異なる時間帯を描き分けるのは大変です
そこでまず、曇り空のようなフラットな状態で一枚仕上げておき
空の部分だけは別途描き直しつつ、それ以外の部分は「色替え」を活用して
コントラストや影の色、ハイライトの色を調整しながら
最低限の加筆で時間帯ごとのバリエーションを作るという方法です

僕自身、アニメの背景制作の仕事をしていたので
この技術はとても身近なものとして感じています
一般的なイラストレーターにはあまり馴染みのない手法かもしれませんが
同じ構図で複数のバリエーションを作って比較したいときなどには
とても便利な技術だと思います

デジタルイラスト

一般的なデジタルイラストの制作プロセスのひとつと言えると思います
まず白黒の線画でラフスケッチを描き
次にグレーで明暗をつけてからカラーで仕上げていく方法です
最初に明度をしっかり確認してから彩色することで、いきなり色で描き始めるよりも
明暗に惑わされず、絵全体を整理しやすくなるのが特徴です

絵具イラスト

絵具で描いたスケッチや写真をもとに、Photoshopで制作した習作を参考にしながら
絵具イラストの制作プロセスと技法を解説しています

ギャラリー

10人の作家による記事が掲載されており
各作家4ページずつ、イラストとあわせて制作時に意識していることが紹介されています
さまざまな作風や考え方に触れることができるので、とても参考になります

 

ゲーム、アニメ、デジタル、アナログと
さまざまな分野で活用されている技術が紹介されており
本来なら、この実践編だけでも3冊に分かれていてもおかしくない内容が
1冊にぎゅっと詰まっています

それぞれ異なる手法が紹介されていることで
「こんな考え方や技術もあるんだ」と気づかされ
情報同士が補い合っているような印象を受けました
もしこれらの知識を個別に学ぼうとすれば、何冊もの専門書を読む必要があるでしょう

実際、一口に“デジタルイラスト”と言っても
業種ごとに必要とされる知識や技術はまったく異なります

だからこそ、これだけ多様な分野の実践的な内容が
1冊にまとまっているのは、とても貴重です

ゲームやアニメ、それぞれの業界で活躍するイラストレーターが1人で書いた本では
こうした幅広い内容が1冊にまとまることはないのではないかと思います

こんな人におすすめ

  • 絵を描く初心者〜中級者で、色や光についての「正しい理解」を深めたい人
  • デジタル・アナログ問わず、広い視野で絵を学びたい人
  • 自分の専門外の分野にも興味がある、好奇心旺盛なアーティスト
  • 手元に置いて、何度も見返したくなるような「絵の辞書」が欲しい人

まとめ

この本は、すべてを厳密に理解する必要はありません
でも、絵を描く人であれば
いずれは必要になる知識ばかりです

今すぐに全部を理解できなくても
「そのうち理解しなきゃな〜」と頭の片隅に置いておくだけで
きっと行動が変わってくると思います
だからこそ、この本はできるだけ早いうちに持っておくことをおすすめします

 

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イラスト上達のための理論と実践
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(個人的には電子より紙がお勧めなんですが、在庫切れなのか
ずいぶん価格に差が出てしまっていたのでキンドルのリンクを貼っています)