絵を描いている方の中には
「混色がなんとなく苦手…」と感じている方も多いのではないでしょうか?
僕自身、アニメ背景会社に就職してから1年ほどは混色がとにかく苦手で
絵を描いている時間よりも、絵具を混ぜて色を作っている時間の方が長い
というような日々でした
今思えば、「なんとなく近い色」になるまで
手当たり次第に色を混ぜていただけだったのが原因です
そんな過去の自分にぜひ教えてあげたいのが、今回ご紹介する本
『色彩・配色・混色 美しい配色と混色のテクニックをマスターする』
ベティ・エドワーズ著
▶Amazonリンク:https://amzn.to/3u90k7L
この本は、
「色相 → 明度 → 彩度」 の順に、目の前の色を見て判断し
混色で再現するという方法に特化した内容になっています
「光の知識がなくても、静物画が描けるようになる!」
というテーマのもと、実践的な課題が用意されています
僕が混色でつまずいていた理由
混色がうまくできなかったのは
「色相」「明度」「彩度」といった基礎知識が頭の中でバラバラで
うまく活用できていなかったからです
アニメ背景会社に就職したときは
透明水彩やスケッチの技法書を読んで身につけた最低限の知識しかありませんでした
たとえば「この色は〇〇と〇〇を混ぜました」と書かれていても
なぜその色同士を混ぜるのか?
という肝心な部分の説明は省かれていることがほとんどでした
結局、混色の根拠がわからないまま
なんとなく絵具を混ぜて色を作る…という作業を延々と繰り返していました
三原色でグレーを作る、という発想
そんな僕の混色に対する苦手意識が消えたのは
「赤・青・黄の三原色でグレーを作る」という方法に出会ったときでした
もちろん知識としては知っていましたが
実際に試したことはありませんでした
具体的には、以下のような混色です
明るいグレー:ピンク、ライトブルー、レモンイエロー
暗いグレー:ピンク、コバルトブルー、ローアンバー
さらに
より明るくしたいときはホワイトを加える
より暗くしたいときはブラックを加える
メリット
- 明度をコントロールできる
- 赤っぽい、青っぽい、黄っぽいという色味に集中できる
例えば、明るい三色を使えば自然と明るいグレーができるので
明度の調整に悩まなくて済みます
あとは、赤っぽいか青っぽいか黄っぽいかの色相の調整に集中することができます
最近になって気づいたのですが
この方法の最大の利点は
「色相」と「明度」を分けて考えられるようになることだと思っています
デメリット
- 作れない色がある
- 混ぜるのが大変
この方法では暗い緑や暗い赤が作れませんし
三色を均等に混ぜるようグレーを作るのは手間がかかります
自然物を描く場合は明るい緑や暗い緑、茶っぽい緑など多くの緑を使うことがあります
その場合はサップグリーンやオリーブグリーンなどを使用した方が早いので
混色に慣れてからは、時短のために緑や茶色の絵具も使うようになりました
混色に慣れた今では低彩度の色を作る場合は
グレーに色味を加える方が早い場合もあると感じます
この本の混色方法
この本では、再現したい色を次の順番で判断していきます
- 色相(どの色に近いか)
- 明度(白〜黒の中でどの明るさか)
- 彩度(鮮やかさの強弱)
色相の判別
12色相環の中から、目の前の色がどの色に近いかを見極めます

明度の判別
白から黒の7段階グレースケールを使って、どの明度に近いかを判別します
(7段階のグレーを作る実習があります)

彩度の判別
純色と無彩色のグレーを7段階にした表を作り、色の鮮やかさを判別します
(純色と補色を使って7段階のグレーを作る実習があります)
判別をもとに
色相が近い色に白・黒・補色などを加えながら、色を近づけていきます
実習内容
この本では、以下のようなステップで実習が進みます
- 12色相環の制作
- 7段階グレースケールの作成
- 彩度変化の練習
など
多くの実習を通して理解を深めていきます
使用する絵具の例
- チタニウムホワイト
- アイボリーブラック
- カドミウム・イエローペール
- カドミウム・オレンジ
- カドミウム・レッド・ミディアム
- アリザリン・クリムゾン
- コバルト・バイオレット
- ウルトラ・マリンブルー
- パーマネント・グリーン
中でも、これらの絵具で作る12色相環づくりは貴重だと思います
色相環についてのデータや図はネット上でも多く見つかりますが
12色相環に対応した絵具は何色なのか?
というのは検索しても、なかなか見つからないからです
どうやら絵具は単一顔料でない場合もあり
濃度によっても色味が変化してしまう絵具もあるため
補色同士を混ぜるとグレーになるという厳密な意味での色相環を再現することは
現状では難しいというのが
12色相環に対応した絵具の名前を調べづらい理由のようです
まとめ
僕が混色でつまずいていた理由は
色相・明度・彩度をバラバラの知識としてしか捉えていなかったからです
赤・青・黄の三原色で混色することで
それぞれの知識が結びつき、色に対する理解が深まりました
この本は、
「色相 → 明度 → 彩度」という順番で色を見極めていくので
とてもシンプルに混色を学べる内容になっています
混色が苦手だった当時の自分に、本当に教えてあげたかった一冊です
僕自身、色相環を初めて描いたときに「やってみて初めて理解できた」と実感しました
それ以降、参考になりそうな本に出会ったときは読むだけでなく
作例を模写するようにしています
もしあなたが混色で悩んでいるなら
ぜひこの本の実習を試してみてください
時間と手間はかかりますが
「実際に手を動かしてみないとわからない」学びが、きっと得られます
この本を読んでも
「影って何色?」という難問の答えは出ませんが
目の前の色を、素早く再現できるようになりたい初心者の方には、特におすすめの本です
📘 紹介した書籍はこちら
『色彩・配色・混色 美しい配色と混色のテクニックをマスターする』
ベティ・エドワーズ著
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