山を描く前に、コピー用紙でカッコイイ形を探してみる
山を描こうとしたときに
- 輪郭以外のどこを見ればいいのかわからない
- 写真を見て描いているのに
山っぽく見えない - どこに影を入れればいいのか
よくわからない - どうすればカッコイイ山が
描けるのかわからない
そんなことはありませんか?
僕は17年ほど
アニメ背景の仕事をしてきました
仕事では
山や森などの自然物を描くこともあります
山は建物のように
パースだけで整理できないので
面の向きや奥行きの読み取りが
大事になると感じています
それでも以前は
山を描くときに
どの部分を見ればいいのか
どのように考えればいいのか
うまく整理できていませんでした
今思うと
山の形を理解しないまま
雰囲気で描こうとしていたのだと思います
結論から言うと
コピー用紙をぐしゃっと丸めて
山のような形を作って
照明を当てて観察すると
山の面の向きや明暗
手前と奥の距離感が
かなり見えやすくなります
この記事では
コピー用紙で山を作りながら
山を描く前に見る場所と
形・明暗・奥行きを確認する方法をまとめます
山の描き方の正解というより
僕が実際に試してよかった
形や明暗を整理するための
観察方法のひとつとして読んでもらえたらと思います
僕がうまく山を描けなかった2つの理由
今思うと
僕が山を描くのが苦手だった理由は
大きく2つありました
画像検索で
イメージに近い山の写真が見つからなかったこと
もうひとつは
山の形を理解しないまま描いていたことです
写真を探しても
描きたいイメージに近い資料が見つからない
山がどんな立体なのかも
よくわかっていない状態で
なんとなく陰影をつけていたので
満足のいく絵になりませんでした
画像検索だけでは、描きやすい山が見つからなかった
昼間の山は
ほぼ上から太陽の光が当たります
そのため昼の山は
陰影が付きにくいので
明暗差が少なく
立体感がわかりにくいことがあります
山にしっかり影が落ちるのは
夕方のように
光が横から当たる時間帯です
つまり
陰影がはっきりしていて
描きやすい昼の山の写真を探しても
なかなか見つからないのは当然です
実際の山を見て考えれば
気づいたかもしれません
でも当時の僕は
山があまり見えない東京で暮らしていて
画像検索を頼りにしていたので
そこに気づいていませんでした
山の形を理解しないまま描いていた
立方体や球、円柱など
形を理解しているものなら
実物を見なくても
ある程度、陰影を想像できます
でも、苦手意識を持っていた頃の僕は
山に対して
どういう立体だから
どんな陰影になるのか
という考え方ができていませんでした
結果的に
かっこよくなればいいなと思いながら
やみくもに影を入れていただけでした
それでは
たまたまうまく描けることがあっても
再現性がありません
解決するには、山の立体を理解する必要がある
山がうまく描けなかった原因は
山の立体や特徴を
理解していなかったことでした
だからまずは
山の形を理解する必要があります
山の形がわかるようになれば
夕方の山の写真を見て立体を把握し
それを昼や夜の色で描く
といったことも考えやすくなります
写真に写っている情報を
そのまま写すだけではなく
絵として再構成しやすくなるのです
では
どうやって山の立体を理解すればいいのか?
僕は
コピー用紙をぐしゃっと丸めて山の形を作り
照明を当てて
いろいろな角度から観察しました
コピー用紙で作った山を観察する
きれいな模型を作る必要はない
実際にコピー用紙を使って
簡単な山を作ってみます
きれいな模型を作る必要はありません
グチャっと丸めたり
折り曲げたりして
山っぽい形を作ります
大事なのは
工作として上手く作ることではありません
- 明暗
- 面の向き
- 尾根や谷の流れ
などの情報が
見える形になっていれば十分です
下の写真は山の写真と
実際にコピー用紙で作った山を撮影したものです

この紙で山を作って描く練習方法は
20年以上前に読んだ
奥津国道さんの
『水彩画プロの裏技②』という本で知りました
この記事では
その方法をそのまま紹介するだけではなく
僕が実際に試してみて
山の形・明暗・奥行きをどう見たのかを
自分なりに整理しています
実際にやってみると
コピー用紙で作った山を観察するときに
大事なことは3つあると感じました
- 描きやすい陰影になるように
照明の位置を調整すること - 面の向きと明るさの関係を
観察すること - いろいろな角度から見て
立体を把握すること
です
描きやすい陰影になるように照明を調整する
意外かもしれませんが
慣れないうちは
照明の調整がかなり大事です
部屋の照明や電気スタンドの位置を工夫して
- 光が当たる面
- 影になる面
- 中間の明るさになる面
がわかりやすい状態を作ります
下の写真は描きやすい明暗が作れたと思います

ただ、慣れていないと
これが思ったより難しいです
部屋の天井に付いた蛍光灯だけだと
真上からの光になってしまうので
作った山に陰影が付きにくくなってしまいます
コツは
夕方の光のように
横に近い位置から照らすことです
描きやすい明暗の状態を作れた時点で
かなり描きやすくなります
光源の位置や強さを変えながら
どの角度から照らすと
山らしく見えるのかを探してみてください
地味な作業ですが
山の立体と影の付き方を考える
よい練習になります
面の向きと明るさの関係を見る
コピー用紙の山を観察するときは
面の向きと明るさの関係を見ます
同じ方向を向いている面は
同じような明るさになります
つまり
「同じ面の向き」=「同じ明るさ」
と考えると
整理しやすくなります
明るさを描き分けることで
面の向きを表現できる
そう考えると
山の陰影も見やすくなります
アニメ背景の仕事では
自然物だけでなく人工物を描くときにも
細かい形を全部追うのではなく
面の向きごとに明暗を整理して
画面として見やすくすることがあります

上の写真でも
同じような明るさの面が
同じような角度になっているのがわかると思います
実際には
紙の反射や周りの環境によって
多少の違いはあります
それでも
同じ方向を向いた面は
同じような明るさにまとめる
そう意識すると
描く側にとっても整理しやすく
見る側にとってもわかりやすい絵になります
いろいろな角度から見て、立体を把握する
コピー用紙で山を作るメリットは
実際の山と違って
いろいろな角度から観察できることです
1枚の写真だけを見ると
実際の形までは
なかなか理解できませんが
コピー用紙で作った山なら
いろいろな角度から見ることができます

- 正面から見る
- 真上から見る
- 横から見る
そうすることによって
正面から見えていた陰影が
実際にはどんな立体によってできているのか
確認することができます

前後の広がりや
左右の距離感も
空間として把握しやすくなります
自分で描いた山が
薄っぺらく感じる方は
一度やってみるとよいと思います
立体として理解できるようになると
陰影を見たときに
この影は
どんな形によってできているのか
と考えやすくなります

僕はコピー用紙を観察したあと
山の写真を見たときに
尾根に沿ってかなり奥行きがある
というようなことを
以前より想像できるようになりました
どうやって
手前と奥の距離感を表現しようか
そういうことを
実感を持って考えられるようになったのです
これは
自分で手を動かして観察しないと
身につきにくい感覚かもしれません
自分で撮った写真なら
あとから見返したときにも
その場の奥行きを思い出せます
でも
他人が撮った写真だけを見ていると
なかなかそこまではわかりません
だからこそ
自分で形を作って
自分で観察してみることが大事だと思います
立体がわかると、カッコイイ形も探しやすくなる
山の立体が少し見えてくると
次に考えやすくなるのは
自分はどこをカッコイイと思うのか
ということです
山の外側の輪郭だけを見ていると
なんとなく山っぽい形を追いかけてしまいます
でも
- 手前と奥の距離感
- 面の向き
- 明暗の切り替わり
- 尾根や谷の流れ
こういった情報が見えてくると
自分がカッコイイと思う場所も
探しやすくなります
カッコイイと感じる山には、理由がある
僕が「カッコイイ!」と感じる山は
ただギザギザした山ではありません
- 手前と奥の距離がわかる
- 山の前後関係が見える
- 面の向きによって明暗が変わる
- 尾根や谷の流れが単調ではない
といった情報が入っていると
カッコイイと思います
逆に
ただ山のシルエットが重なっているだけの絵を見ると
物足りなく感じることがあります
遠景の山なら
それで十分な場合もあります
でも中景の山の場合は
前後の山同士の連なりが表現できていないと
平面的に見えてしまうことがあるからです
山を描く前に考えたいのは
「山っぽい形」を描くことだけではありません
その山の絵で
表現できていなければならない情報は何か?
ということです
例えば以下のようなラフの山を仕上げる場合
どんな山だったらカッコイイと思うでしょうか?

カッコイイと思える場所を探す
光を当てたら色々な角度から見て
どこがかっこよく見えるかを探します

たとえば
- 手前と奥の距離感が出ているところ
- 山の前後関係がわかるところ
- 明暗で面の向きが見えるところ
- 尾根や谷の流れが単調ではないところ
- 自分の想像では思いつかない形になっているところ
そういう場所を探します
「なんとなくカッコイイ」で終わらせずに
なぜカッコイイと見えたのかを
言葉にしてみます
- 距離感があるから
- 前後関係がわかるから
- 明暗の切り替わりが気持ちいいから
- 面の向きが見えるから
そこが言語化できると
描くときに見るべきポイントが絞りやすくなります
個人的に僕が山っぽい、カッコイイと思った
萌えポイントを書き出してみました

表現したいものを言葉にしておく
絵の練習というと
手を動かすことばかり考えがちです
でも
何をカッコイイと思ったのか
なぜそう見えたのかを考えることも
大事な練習だと思います
自分がどこをカッコイイと思ったのかがわかっていると
山を描くときに
どんな情報を入れればいいのかが
少しはっきりします
距離感がカッコイイと思ったなら
手前と奥の重なりを入れる
明暗の切り替わりがカッコイイと思ったなら
面の向きがわかるように光と影を入れる
尾根や谷の流れがカッコイイと思ったなら
その流れが単調にならないように工夫する
つまり
自分がカッコイイと思ったポイントを
絵の中に入れていけばいいんです
ただし、そのためには
自分が何を表現したいのか
何をカッコイイと思うのかを
言葉にしておく必要があります
表現したいものが言葉になっていないと
描いたあとに
- これでいいのか
- 何が足りないのか
- どこを直せばいいのか
を確認しにくくなります
山を描く前に
自分がどこをカッコイイと思ったのかを言葉にしておく
それができると
描いている途中でも
表現したいものが表現できているかを
確認しやすくなります
写真を撮って見返してみる
いい形が見つかったら
スマホで写真を撮っておくと良いと思います
写真にすると
少し客観的に確認しやすくなります
山らしく見えるか
距離感や前後関係が伝わるか
明暗で面の向きが見えるか
そういったことを確認しやすくなりますし
描くときの参考資料にもなります
コピー用紙で作った山を並べてみる
コピー用紙で作った山の写真が増えてきたら
デジタル上で並べてみるのも
よい練習になると思います
できれば
同じ方向から光を当てた写真を使うと
光面と影面の向きがそろいやすくなります
そうすると
手前にどの山を置くか
奥にどの山を置くか
光面と影面をどうつなげるか
といったことを
画面上で試しやすくなります
たとえば下図のように
1つの山の奥に別の山を足す場合でも
- 光面と影面を交互に並べるのか
- 影面同士をつなげるのか
そう考えるだけで
山の前後関係や
尾根の流れを意識しやすくなります

絵の練習というと
実際に描くことばかり考えがちですが
形を観察すること
写真を並べて比較すること
どう配置すれば山らしく見えるかを考えることも
描く前の大事な練習になると思います
ラフの山に、カッコイイと思った情報を足してみる
ちなみに最初の問題
どんな山にすればカッコイイか?についてですが

- 1つの大きな山ではなく
手前と奥の2つの山がある - 尾根が手前方向に伸びてくる
という2つを踏まえて
コピー用紙で作った山の写真に色を付けて
ラフに重ねるように確認してみました

最初のラフよりも
山の前後関係や
尾根の流れが見えやすくなったと思います
まとめ
山を描くときは
いきなり手を動かす前に
- 山の立体を空間的に把握すること
- 自分がカッコイイと思う場所を見つけること
この2つを確認しておくと
描くときに見る場所がわかりやすくなります
コピー用紙で作った山を観察すると
面の向きや明暗
手前と奥の重なりが見えやすくなります
何がどうなっていればよいのかを
理解しないまま描くよりも
表現したいものがはっきりしている方が
描くときの迷いは少なくなると思います
想像だけで山を描こうとせずに
まずはコピー用紙で作った山を
観察してみてください
【あわせて読みたい】
コピー用紙で作った山を使って
実際にスケッチ練習をしてみたい方は
鉛筆・白黒・限定色の順番で描く練習を
まとめた記事も参考にしてみてください
山の面の向きや明暗を
もう少しシンプルに整理したい方は
立体を明るい面・中間の面・暗い面の
3段階で考える記事も参考にしてみてください