問題です
下の図で左下の照明がついた場合
AとBのどちらの部分が明るくなるでしょうか?

2面の壁と照明の位置関係の図
2面の壁と照明の位置関係の図

参考例は以下になります

照明が付いた例
照明が付いた例

光がどこから来て
どの面に届きやすいかを考えると
判断しやすくなります

答えBです

実際に実験をしてみた結果が下の写真です

照明と壁の明るさの実験結果
照明と壁の明るさの実験結果

照明の形が違うのはご容赦ください

実際に
白い画用紙3枚と電気スタンドを使って
簡単な実験をしてみました

照明と壁の明るさの実験環境

身近な照明と白い紙でも
似たような確認ができます

明るさは
光源からの距離や
光を受ける面の角度によって変わります

Bは光源に対して正面に近い向きなので
Aよりも光を受けやすく
明るくなります

補足すると
今回の「面の向きによって明るさが変わる」
という考え方は
物理ではランベルトの余弦則
3DCGではランバート・シェーディング
とも関係があります

3DCGでは計算で明るさを決めますが
手で描く場合は
絵を描く人がこれと似た判断を
感覚的に行っていることも多いと思います

僕も絵を描くときは
数式で計算しているわけではありませんが
「光がどこから来て
どの面に当たりやすいか」
を考えながら明るさを判断しています

ランベルトの余弦則については
Wikipediaの解説も参考になります

この記事では
光を物理的に厳密に説明するのではなく
絵を描くときに明暗を判断するための考え方として
壁や窓枠の明るさを例に
光の通り道を想像する方法
をまとめます

背景を描くときに
どちらの面を明るくするかで迷った

僕は17年ほど
アニメ背景美術の仕事をしてきました

背景を描くときには
壁や窓枠、建物の厚みなど
「どちらの面を明るくすればいいのか」で
迷うことがあります

新人のころの僕も
このような照明と壁を描くときに
どちらの壁が明るくなるのか
何を根拠に判断すればいいのかわからず
なんとなく片方の面を暗くしていました

でも、毎回なんとなく決めていると
描くたびに結果が変わってしまいます

描き終わったあと
帰宅してから風呂場の照明を見て
「あっ、こっちが明るくなるんだ」
と気づくこともありました

さすがに何度も同じことで悩むのは
時間がもったいないと思い
自分なりに理由を考えながら
身の回りの光を観察するようになりました

身近な光は
意外と見過ごしがちです

でも、絵に説得力を持たせるには
日常の光を観察して
「なぜそう見えるのか」を考えることが
大切
だと思います

絵に説得力を持たせるために必要な知識については
形・空間・光・色・画面構成の全体像を整理した記事でも
まとめています

逆光の壁と窓枠は、どちらが明るくなるのか

次に、同じように悩みやすい例として
逆光の壁の厚み部分や窓枠を考えてみます

下の図で
窓が1つしかない部屋について考えます

A:壁の厚み(光面)
B:壁の厚み(影面)
C:室内の壁面

BとCはどちらが明るくなるでしょうか?

理由もあわせて考えてみてください

逆光の窓と壁の明るさの問題
逆光の窓と壁の明るさの問題

参考写真がない状態でも
絵として描かなければならないことがあります

そのときに大事なのは
自分の中に判断材料があるかどうかです

あらためて考えてみると
理由を説明するのは
意外と難しいのではないでしょうか

僕は、次のように考えています

逆光の窓と壁の明るさの答え
逆光の窓と壁の明るさの答え

上図のように窓の外からの光は
直射日光だけでなく
地面からの反射光などもあります

Bはそういった反射光なども当たりますが
CはAやBにあたって通過した光が
室内で反射した光しか当たりません

なので
BはCより明るくなりやすいと考えています

Bの方が暗くなっている絵を
見たこともあります

絵として意図的に
そう描く場合もあると思います

ただ、僕の場合は
光がどこから来て
どの面に届きやすいかを考えて
上の図のように判断しています

昼と夕方では、同じ見え方になるのか

では
昼と夕方では同じように見えるでしょうか?

違いがあるとしたら
どんな可能性が考えられるでしょうか

夕方の逆光窓と壁の明るさの例
夕方の逆光窓と壁の明るさの例

たとえば
次のように考えることもできます

  • 光が弱くなるのでA’は暗くなる
  • 光が弱くなるのでAとB、A’とB’の
    コントラストが弱くなる
  • 光の角度が浅くなるので
    室内に入る光が多くなるため
    室内の反射光が増えC’が明るくなる

これは決まった正解ではなく
光の経路から考えられる可能性の話です

実際の光を観察したうえで
絵として見せたい明暗を選ぶこともあります

光の直進、回折、反射
光源からの距離などを考えると
同じ形でも明暗の見え方が変わる可能性があります

もちろん、毎回すべてを
難しく考える必要はありません

大事なのは
「光がどこから来て、どこに届くのか」を
想像することです

光の通り道を考えるクセがつくと
身の回りの観察もしやすくなります

そして
今まで見過ごしていた光の美しさや面白さにも
気づきやすくなると思います

逆光の窓側の壁と側面の壁、どちらが明るくなるのか

同じく窓の外から光が入ってくる場合
AとBの壁はどちらが明るくなるでしょうか?

ちなみに窓と窓の外のコントラストを強くするために
窓は意図的に壁より暗い色を使っています

逆光の窓側の壁と側面の壁の明るさ
逆光の窓側の壁と側面の壁の明るさ

答えはBの面です

これは実際に自分の部屋などで
確かめてみてください

光の処理を追加すると壁の明るさの見え方も変わる

ちなみに先ほど出た図にブラシで光を入れたのが
下図です

逆光の窓に光の処理をした例
逆光の窓に光の処理をした例

A面が明るい方は
A面の壁全体が明るく感じるのに対して
A面が暗い方は光の処理がはっきり見えると思います

光の影響を意識して
A面の壁を明るくしてしまいがちですが
実際にはA面の壁を暗くした方が
窓外の明るさが引き立ちます

まとめ

どちらの面が明るくなるのか迷ったときは
なんとなく明暗を決めるのではなく
光の経路を考えてみると判断しやすくなります

光がどこから来て
どの面に届きやすいのか
反射した光はどこに回り込むのか
光源との距離によって
どのような違いが出そうなのか

こうしたことを考えると
壁や窓枠、室内の影を描くときの迷いが
少し減ると思います

物理的に厳密な正解を出すためではなく
絵を描くときに根拠を持って判断するために
光の通り道を想像してみる

そのためには
原因と結果を想像するための知識だけでなく
好奇心をもって現実を観察することも
大切だと思います


【あわせて読みたい記事】

光の当たり方を考えたあと
実際に立体を明暗で整理する練習については
「立体を3階調で描く練習」
参考になると思います

色や光について、もう少し理論的に学びたい方は
「色と光マスターガイド」を読んだ感想
まとめています

光だけでなく
絵を描くときに必要な知識を全体的に整理したい方は
「形・空間・光・色・構図・表現の関係
をまとめた記事」も参考になると思います

ABOUT ME
後藤太郎
17年ほどアニメ背景美術の仕事をしてきました。現在は、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりしながら気づいたことを発信しています。