立体を3階調で描く練習|陰影をシンプルに整理するコツ
電柱やビルなど
同じような形のものを描いているときに
- 毎回、影つけに時間がかかってしまう
- 毎回、影つけがバラバラで
- 再現性がない
ということで悩んだことがある方はいませんか?
これは
僕がアニメ背景の仕事を始めたころに
最初にぶつかった壁です
その後17年ほど
アニメ背景の仕事をしてきました
具体的に何がきっかけだったかは忘れましたが
僕は、立体を3階調で描く訓練をしたことで
同じ光源の
同じような立体を描くときに
毎回、陰影のつけ方で悩むことが
少なくなりました
3階調で考えることが
毎回ゼロから陰影を考えないための
基礎の一つになったと思います
とにかく頭が痛くなるくらい考えて
考えなくても描けるようになれるように
心がけたことは覚えています
立体を描く場合、以下のような
多くの情報を表現しなければなりません
- 光面の色
- 影面の色
- 反射光
- ハイライト など
この記事では
その情報を取捨選択して
3階調で立体を表現するコツと
練習方法をまとめます
3階調で立体を整理できるようになると
陰影を判断するときの時短や
再現性につながりやすいので
本来集中するべき絵作りに
時間を使いやすくなると思います
※記事内の説明図や練習例は
アニメ背景の仕事や
3階調の練習で使ってきた考え方をもとに
筆者が作成しています
3階調で基本的な立体感を整理する
僕の中学の時の美術の先生は
- 白、黒、グレーの3階調あれば
どんな立体も基本的な立体表現ができる - アニメーションのキャラクターは
最小限の色数で表現されている
と言っていました
僕が受講した講座でも
トンコハウスの堤大介さんが
3階調の立体表現について
シンプルでインパクトのある表現として紹介していました
僕はアニメの背景会社に就職してから
17年ほど仕事をする中で
事あるごとに
3階調について調べてきました
ただ
なぜ3階調でなければならないのかという
理論的な根拠までは確認できていません
一方で
美術教育やアニメーションの表現などで
立体を単純化して考える方法として
実践的に使われている考え方だと捉えています
3階調で描く基本のコツ
コツとしては
下図のように①②③と
いつも同じ順を追って描くことです
同じ順番で描くことで
パターンを覚えてしまいます
また
3階調で立体を単純化するこの練習では
同じ向きの面を
同じ明度としてまとめて考えます
これは
実際の光の状態を
そのまま再現するためではなく
面がどちらを向いているのかを
明暗でわかりやすく整理するための考え方です
このように考えると
見やすく、描きやすい絵に
まとめやすくなります
ただし
実際に光源を設定して描く場合は
同じ向きの面が
必ず同じ明るさになるとは限りません
光がどこから来て
どの面に届きやすいかを考えると
明るさを判断しやすくなります
光の経路から面の明るさを考える方法については
別の記事でもまとめています
壺や花瓶など複雑な形の場合は
写真ではなく実物を見ながら描いた方が
描きやすいと思います
一度、実物を見ながら上図の参考のように
同じものを2つのパターンで
描き比べてみてください
両方描き分けることができた方が
表現の幅が広がります
ここで重要なことは
この3階調練習では
基本的にボカシを使わないことです
慣れないと怖くて
つい境界線をボカしてしまいがちです
でも、ボカしてしまうと
手数が増えて時間がかかるうえに
立体がきちんと表現できているかが
曖昧になってしまいます
最初は上手く描けずに不安になりますが
ボカシを使わないで
練習してみてください
身の回りのものを3階調で描いてみる
おすすめの練習方法は
マグカップや花瓶、植木鉢、ぬいぐるみなど
モノトーンの日用品を見ながら
スケッチしてみることです
ラベルや模様は無視して
立体だけに集中してください
単純な円筒形から
少しずつ複雑な形にしていくのが
いいと思います
僕の場合
5、6階調で描くよりも
3階調まで情報を絞る方が難しく感じます
まず3階調で練習すると
立体をシンプルな明暗で見る
訓練になります
この考え方を
山のような複雑な自然物に応用する方法は
「山の描き方|コピー用紙で形・明暗・奥行きを観察する方法」で
まとめています
「説明的な立体表現」と陰影表現を分けて考える
ここで
「説明的な立体表現」について説明します
もしかしたら
他に正式名称があるのかもしれませんが
ここでは僕の造語として
「説明的な立体表現」と呼びます
説明的な立体表現とは
誰が見ても立体の形がわかりやすいように
面の向きを基準にして
明暗を単純化した表現のことです
実際の照明条件を
そのまま再現したものではありません
なぜ
説明的な立体表現を考える必要があるのかというと
順光や逆光など
実際の光源を設定する前に
面の向きを基準にして
立体を明暗に整理した状態を
頭の中でイメージできた方が
ラクだからです
イメージとしては
光源を設定する前に
立体を頭の中でモデリングする感じです
また
光源がはっきりしない場面や
弱い光の絵を描く場合にも
まず立体そのものの明暗を整理するための
考え方として使えます
下図を見てください
「説明的な立体表現」を描くポイントは
真上から弱い光が当たっていると仮定して
同じ向きの面を同じ明るさにまとめることです
面の向きによって明るさを決めることで
その立体の面がどちらを向いているのかを
説明的に表現します
仮想上の「説明的な立体表現」を描くことで
頭が整理されたら
改めて順光や逆光など
光源を設定して光を当てます
もちろん、描き慣れている人は
いきなり光源設定した状態で
複雑な立体を描くことができると思います
床などに
はっきりした落ち影が出ないほど
弱い光の場合は
どう描けばいいのかわからない
という状況になってしまうことがあります
なぜか?
立体を表現する明暗表現と
光を表現する陰影表現を
混同してしまうからです
自分が今
立体を明暗で表現しているのか
それとも
陰影によって光を表現しているのか
その違いを区別できるようになるためにも
慣れないうちは
陰影表現をする前に
明暗表現をすることをおすすめします
慣れてきたら順光・逆光のパターンを増やす
慣れてきたら
参考を見ずに球や円柱を3階調で描きます
球や円柱を3階調で
順光、逆光を描き分けてみてください
下にいくつか例を載せています
「接地影と立体を
描き分ける必要があるかどうか」
「明暗差はどれくらいが適切か」など
思いつく限りのパターンを描いてみて
表現したい光の強さや明暗差を模索します
球と円柱の順光、逆光の描き分けが
できるようになると
デフォルメされた雲や木を描く場合も
再現性のある陰影表現がしやすくなります
応用:曲がった円柱を多角柱として考える
アニメ背景会社の新人研修時に
曲がった円柱なんて難しいものは
見ても描けないんだから
曲がるストローとか
身の回りの物を見て描け
と言われました
ただ、いつも近くに
参考になるような物があるとは限りません
そんな場合には
円柱を多角柱として考えると
どこが影の部分になるのかが
わかりやすくなります
3階調の分け方に正解は1つではない
具体的に
身の回りにあるようなものを
3階調で描いてみてください
意外と頭を使います
見逃してしまいがちな身の回りのものも
よく見てみると
意外と3階調に見えるものがあります
観察してみてください
答えは1つではありません
例えば以下の作例の椅子が主役か脇役かでも
どこまで詳細に表現するかが違ってきます
他にも答えはあると思いますので
頭の体操として
3階調で描いてみてください
慣れてくると
上手い人の省略方法が
わかるようになってきます
だから上手いんだ
というのがわかるようになると
真似してみたくなりますよ
遠景・中景・近景の距離に応じて
階調数やシルエットを変える考え方については
「遠景・中景・近景の描き込みを整理する記事」でも
まとめています
まとめ
3階調で立体を描く練習は
単純に白・グレー・黒の
3色で描くための練習ではありません
複雑な立体の情報を整理して
- どの面を明るくするか
- どの面を暗くするか
- どこまで省略するか
を自分で判断するための練習です
最初は
3階調に整理するだけでも
かなり頭を使うと思います
でも
- 同じ順番で描く
- 同じ向きの面を同じ明度にまとめる
- ボカさず明暗を分ける
- 球や円柱で光のパターンを増やす
といった練習を繰り返すことで
毎回ゼロから陰影を考えなくても
ある程度同じ判断を再現しやすくなります
僕自身も
3階調で考える訓練をしたことで
同じような立体を描くたびに
陰影で悩むことが少なくなりました
3階調で描くことが目的ではなく
立体をシンプルな明暗に整理して
必要な情報を選べるようになること
が、この練習の目的だと思います
まずは
マグカップや花瓶など
身近なものを一つ選んで
ボカシを使わず
3階調だけで描いてみてください
【あわせて読みたい記事】
3階調のような基礎練習を続けたい方は
「30分でできる絵の基礎練習まとめ」も
参考になると思います
3階調を形・光・空間など
絵づくり全体の中で整理したい方は
「形・空間・光・色・構図・表現の関係を整理した記事」も
参考にしてみてください
光や明暗について
本でさらに勉強したい方は
「初心者〜中級者向けの絵の勉強本を難易度と読む順番つきでまとめた記事」も
どうぞ









