「これさえわかれば
もっと速く描けるのに!」
という疑問はありませんか?

僕は17年間
アニメ背景の仕事で
日常的に色を扱ってきました

それでも長い間

  • 影って何色なのか?
  • 画家は何を根拠に色を選び
    混色しているのか?

という疑問を持っていました

それがわかれば
光と影の色に悩まず
もっと短時間で
絵を描けると思っていたからです

そんな僕にとって
『配色の教科書』は
「歴史的名画の色使いの背景が
色相環の歴史とともにわかる本」
です

影色や混色の答えを
直接教えてくれる本ではありませんが
自分で考えるための手がかりを
たくさん見つけることができました

配色の教科書
歴史上の学者・アーティストに学ぶ
「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会 著/城一夫 監修

この本では
ニュートンによる光の研究から始まり
さまざまな色相環や色彩理論の歴史と
それらに影響を受けた画家が
どのような作品を描いたのか

わかりやすくまとめられています

特に参考になったのが
ドラクロワの色彩三角形と
ビレンのカラー・トライアングルです

ドラクロワの色彩三角形

仕事で背景を描くときには
基本的に見本があるので
光や影の色で悩むことは
それほどありません

しかし
スケッチや自分の作品では
光や影の色を自分で決める必要があります

僕は昔から
「影色は光色の補色」と言われても
なぜそうなるのかがわからず
ずっと引っかかっていました

その疑問を調べる手がかりになったのが
ドラクロワの色彩三角形です

赤・黄・青の光と、それぞれの補色にあたる緑・紫・橙の影の関係を示したドラクロワの色彩三角形

ドラクロワの色彩三角形|光の色と影に現れる補色の関係
『配色の教科書』を参考に着彩・再構成

『配色の教科書』では
シュヴルールの色彩理論の
影響を受けたドラクロワは
実験によって

  • 赤い光の影は緑
  • 黄色い光の影は紫
  • 青い光の影は橙

という理論に至ったそうです

『配色の教科書』では
ゲーテの色彩理論にも
同じような発見があったと紹介されています

本書では
これ以上詳しく説明されていませんが
僕にとっては
「影色は光色の補色」について
調べるためのキーワードが
わかっただけでも大きな収穫でした

ドラクロワの色彩三角形を知ったことで
以前から使っていた色選びの考え方や
自分で試していた光と影の実験にも
共通する部分があることに気づきました

分裂三原色とのつながり

僕はアニメ背景の仕事を始めて
3年目くらいから
赤・黄・青をそれぞれ2色に分けて考える方法を
混色や色選びの参考にしてきました

赤・黄・青を暖色寄りと寒色寄りの2色ずつに分けた分裂三原色の考え方
赤・黄・青をそれぞれ2色に分けて考える分裂三原色

その考え方を
光や影の色を決めるときにも
参考にしていました

当時は参考にした本で
「三角色環」と紹介されていましたが
現在は『色と光 マスターガイド』を読んで
分裂三原色という考え方として
整理して理解しています

『配色の教科書』で
ドラクロワやシュヴルールの色彩理論を知ったことで
それまで実践として使っていた色の考え方を
歴史や理論の側から見直すきっかけになりました

光と影の実験とのつながり

また僕は2021年に
色のついた光と白色光を使って
影の色を観察したことがあります

そのときは
影が光の色に対して
補色方向に見えました

当時はなぜそう見えるのか
よくわかりませんでしたが
『配色の教科書』で
ゲーテやドラクロワの話を知り
あらためて考えるきっかけになりました

実験方法や結果
現在の僕なりの考えについては
別の記事で詳しくまとめています
光と影の色をどう考えるかを見る

ビレンのカラー・トライアングル

もうひとつ
画家の光と影の考え方や
混色について知りたかった僕にとって
重要だったのが
ビレンのカラー・トライアングルです

本書では
「白」「黒」「純色」の関係を示した
カラー・トライアングルを使って
名画の色使いを8つの調和に分類しています

白・黒・純色と、それらの混色による明るい色・暗い色・濁った色の関係を示したビレンのカラー・トライアングル
白・黒・純色の関係から色の調和を整理するカラー・トライアングル
『配色の教科書』を参考に制作

僕が特に参考になったのは
明るい色・暗い色を作るときに
元の色からどの方向へ動かしているのかを
考えられること
でした

絵具の混色だけでなく
デジタルでも
明度・彩度・色相を確認しながら
色を選ぶヒントになります

ライトグリーンに水・白・黒を加えた色の調査

ちょうどこの本を読む少し前から
僕は絵具で描いたスケッチを
デジタルでスポイトし
色の分布を調べていました

ライトグリーンに
水・白・黒を加えたときの
明度や彩度の変化を調べていたため
カラー・トライアングルを見たときに
名画の色使いを
元の色からどの方向へ明るく・暗くしているのか
という視点で見やすくなりました

絵具とデジタルの色選びを
つなげて考える大きなヒントになりました

ライトグリーンに水・白・黒を加えて描いた色を比較し、明度と彩度の変化を調べた図
ライトグリーンに水・白・黒を加えたときの明度と彩度の変化

まとめ

この本は
ひとつの色彩理論を
深く学ぶ本ではありません

その代わり
さまざまな色相環が
どのような考え方から生まれ
画家の色使いにつながっていったのかを
広く見渡すことができます

僕にとっては
長年バラバラに覚えていた
光・影・混色の知識を
つなげるきっかけになった一冊でした

配色の教科書
歴史上の学者・アーティストに学ぶ
「美しい配色」のしくみ
色彩文化研究会 著/城一夫 監修


『配色の教科書』を読んだあと
色についてもう少し体系的に学びたい方へ

『色と光 マスターガイド』では
分裂三原色や明度・彩度・色相など
現在の自分が色を整理するときに
参考にしている考え方
を学べます
分裂三原色や色と光の基礎を学べる本を見る

色について学べる本を
ほかにも比較したい方

色・光・混色について学べる本を見る

ABOUT ME
後藤太郎
アニメ背景美術の仕事に17年間携わり、現在はフリーのイラストレーターとして活動しています。 このブログでは、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりして分かったことをまとめています。 詳しい経歴・制作実績は、画面下部の「運営者情報」からご覧いただけます。