色について

  • なぜ自分がこの色を使っているのか
    よくわからない
  • なんとなく
    無意識に色を選んでしまう

そんなことはありませんか?

遠景は青っぽい
影色も青っぽい

では、その2つは
どうやって区別すればいいのでしょうか

僕は17年ほど
アニメ背景の仕事をしてきました

仕事でも山や森などの自然物を描くことがあります

それでも以前は、山を描くときに
遠景にはライトブルーやブルーセレストを混ぜる
影にはコバルトブルーを混ぜる
といった感じで
経験上、なんとなく色を選んでいました

でも今回、使う色を4色に絞り
それぞれの色に役割を持たせてスケッチしてみたところ
遠景の青み、影色の青み、山の固有色
を分けて考えやすくなりました

画像


この練習は
山をそっくりに描くためというより
色に役割を持たせて描くための練習です

目的は
見たままの色を作ることではありません

光面、影面、遠景の青みを
それぞれ意味のある色として整理しながら描くこと
です

使う4色に役割を持たせる

4色を選んだ流れ

最初から
4色を選んだわけではありません

白黒で明暗を確認し
ライトグリーンで山の固有色を足し
ライトブルーで空や遠景の青みを足し
最後にコバルトブルーで影面の色を分ける

というように
必要な役割に合わせて
色を追加していきました

この流れで考えると
4色それぞれの役割が
少しわかりやすくなります

今回使う4色の役割

今回は
ホワイト、ライトグリーン、ライトブルー
コバルトブルーの4色で描きます

それぞれの役割は次のように考えました

  • ライトグリーン:山の固有色
  • ライトブルー:空と遠景の青み
  • コバルトブルー:影色の青み
  • ホワイト:明度を上げる色

たとえば
光面の遠景は
ライトグリーンに
ライトブルーとホワイトを混ぜます

影面の遠景は
ライトグリーンに
コバルトブルー、ライトブルー、ホワイトを混ぜます

このように
色と意味を対応させて
作業的に色を作っていきます

適切な場所に
適切な色を置く練習
です

見たままの色が作れないことに
最初は戸惑う
かもしれません

でも慣れてくると
色数が少ないぶん
短時間で考えやすくなる
と思います

練習方法

下の写真が
実際に用意した山と空です

緑色の画用紙で作った山と、ライトブルーで描いた空

空は
白からライトブルーのグラデーションで作りました

それを実際の山だと思って
スケッチします

使う色は
ニッカーのポスターカラーです

  • ホワイト
  • ライトブルー
  • コバルトブルー
  • ライトグリーン

写真を見るのではなく
自分でセッティングした実物を見ながら描くのがおすすめ
です

紙で山の形を作って観察する理由については
コピー用紙で山の形を作り
面の向きや影を確認する練習の記事

もう少し詳しく書いています

シンプルな練習ですが
実際にやってみると
僕には思ったより難しく感じました

頭で考えなくても
作業的に色を選べるようになるまで
何回か試してみる必要があると思います

実際に緑色の画用紙を折って山の形を作り
その前に絵の具で描いた空を置いて
20分ほどでスケッチした結果がこちらです

画像
上:20分で描いたスケッチ
下:緑色の画用紙で作った山と、ライトブルーで描いた空

ライトブルーとコバルトブルーを分けた理由

今回表現したかったのは
主に次の2つです

  • 遠景を青っぽくして距離感を出す
  • 光面と影面の色を区別する

この2つを
できるだけ少ない色数で表現するために
4色を選びました

太陽光を
少し赤っぽい黄みのある白色光と考えます
その場合

  • 光面は黄の影響を受ける
  • 影面は黄の影響を受けにくい

と考えることができます

そこで今回は
青をひとつにまとめず下図の左下のように
空や遠景に使う「黄っぽい青」
影色に使う「赤っぽい青」
という2つの青に分けて考えました

分裂3原色や混色の考え方については
色相・彩度・分裂3原色を整理した記事
もう少し詳しく書いています

画像
分裂3原色を使った青の解説

今回は
空と遠景の青みには黄っぽいライトブルー
影色には赤っぽいコバルトブルー
山の固有色にはライトグリーン
明度調整にはホワイト
を使うことにしました

遠景の青みと影面の青みを分けて考える

遠景の青みと
影面の青みは
どちらも青っぽく見えます

でも、同じ青として扱うと
色の意味があいまいになります

ライトグリーンとコバルトブルーの混色では
以下の図のように

ライトグリーン~コバルトブルーの色の意味
  • コバルトブルーが少ないほど
    光面に近い色
  • コバルトブルーが多いほど
    影面に近い色

と考えます

一方で
ライトグリーンとライトブルーの混色では

ライトグリーン~ライトブルーの色の意味
  • ライトブルーが少ないほど近い山の色
  • ライトブルーが多いほど遠い山の色

と考えます

影面の色も
遠景になるほど
白だけでなくライトブルーを増やすと
空の色の影響を受けた遠くの影色として
考えやすくなります

シンプルな考え方ですが
色に意味を持たせているので
適切な部分に適切な色を置く必要があります

ライトグリーンに水とホワイトを加えたときの違い

ライトグリーンに
ホワイトを混ぜた場合と
水で薄めた場合の違いも調べてみました

画像
ライトグリーンを水で薄めた場合と、ホワイトを混ぜた場合のデータ比較

ホワイトを混ぜた場合は

  • 彩度が下がる
  • 色相はほとんど変わらない

という結果になりました

ホワイトを混ぜた分だけ
無彩色に近づいていきます

水で薄めた場合は

  • ある程度までは彩度が下がりにくい
  • 水で薄めるほど黄色っぽく見える

という結果になりました

ある程度までは
彩度を保ったまま明度が上がり
黄色っぽく見えます

そのため
ライトグリーンに
暖色系の黄色っぽい光が当たっているように
考えることができます

ライトグリーンを水で薄めた場合と、ホワイトを混ぜた場合の見た目の比較

見比べてみると
水で薄めた場合と
ホワイトを混ぜた場合では
「赤っぽい暖色」と「青っぽい寒色」
というほど中間色~白の部分の印象が違います

ライトグリーンにホワイトを混ぜると
水で薄めたときよりも
少し青っぽく見えます

実際に青っぽく色相が変わっているわけではありません

純色のライトグリーンと比べて
彩度が下がって無彩色のグレーに近づくことで
冷たい印象になっているのだと思います

残念ながら
ホワイトを加えただけでは
水で薄めて明るくしたときの色は作れません

今回は
黄色っぽい光が当たっていると仮定して
色を選びました

本当なら
ライトグリーンを明るくした色は
明度が高く、少し黄色っぽい色にしたいところです

でも
ライトグリーンにホワイトを混ぜても
暖色系の色にはなりません

限定色では作ることができない色もある
ということを知ったうえで
描く必要があります

ライトグリーンを水で薄めると色味が変わる理由

ライトグリーンを水で薄めるほど
黄色みが増す理由は
正確にはわかりません

ただ、絵の具が単一顔料ではなく
粒子の大きさが違う顔料でできている場合
水分量によって
色の見え方が変わることがあるそうです

本の説明によると
水分が少ない場合は顔料の陰に隠れていた顔料が
水分が多くなると見えやすくなることがあるようです

そのため
水分量によって
色の見え方が変わるようです

画像
水分量と顔料の見え方の関係

そのため
水分が多い場合と比べて
色の見え方が変わるようです

このあたりに興味がある方は
下の本が参考になると思います

見たい! 聞きたい! 透明水彩!
画家と化学者が語る技法と画材
あべとしゆき  著
小杉弘明 著

この本は
絵具メーカーの研究者と水彩画家の対談形式で読みやすく
絵の具の歴史や材料、混色、画用紙などについて
幅広くまとめられています

絵の具の見え方を
感覚だけでなく材料の面から考えたいときに
参考になる本だと思います

4色で描くメリット・デメリット

4色で描くメリットは
次のようなところです

  • 色数が少ないので、シンプルな絵にしやすい
  • 光面と影面を分けて考えやすい
  • 明暗や距離感を、色の意味と対応させやすい

一方で
デメリットもあります

それは
見たままの色が作れないことです

メリットは
そのままデメリットにもなります

意味のある4色を選んでいるので
意味のある使い方をしないと
絵としてまとまりません

極端に言えば
このスケッチには正解がある
とも言えると思います

光が当たっているはずの部分に
光が当たっていない色を置くと
不自然に見えてしまいます

だからこそ
色の意味を考えながら描く練習には
かなり向いていると思います

まとめ

今回は
ホワイト、ライトグリーン、ライトブルー、コバルトブルーの
4色だけで山を描いてみました

最小限の色数で描くので
作りたくても作れない色もあります

たとえば今回は
黄色っぽい白色光を前提にしました

その場合
光が強く当たっているところは
明度が高いだけでなく
少し黄色っぽくしたくなります

でも
ライトグリーンにホワイトを混ぜても
黄色っぽい色にはなりません

その色を作るには
別に黄色が必要になります

影についても同じように考えると
さらに何色か必要になるかもしれません

ただ、いきなりフルカラーで描くと
選択肢が多すぎて
コントロールしにくくなります

自分の色選びの問題点が
どこにあるのかも
判断しにくくなります

必要最小限の色に絞ることで

  • 自分が何を表現したいのか
  • そのためにどの色を使うのか

を考えやすくなります

無意識に色を作っている感覚がある方は
一度、この練習を試してみるとよいと思います

無意識に選んでいた色を
意識して選ぶことで
今まで気づけなかった改善点が
見えてくるかもしれません


【あわせて読みたい記事】

混色するときに
何を基準に色を選べばいいのかを整理したい方

混色で迷わないために意識している考え方を
まとめた記事
も参考になると思います

ABOUT ME
後藤太郎
17年ほどアニメ背景美術の仕事をしてきました。現在は、絵の練習・背景制作・屋外スケッチについて、実際に描いたり試したりしながら気づいたことを発信しています。