「流背」の色の選び方と描き方|背景色・イメージ色の考え方
下に掲載したXのポストのような
アニメの戦闘シーンや変身シーン
高速で物体が移動しているシーンなどで
使われる空間が流れているような背景を
流背と呼んでいます
僕はアニメ背景の仕事を
17年間してきました
流背の色は
大きく分けると
- 背景の色をもとに決める
- キャラクターや感情などの
イメージをもとに決める
という2つの考え方があります
背景色を使う場合は
元の背景よりも
彩度や明度差をやや強くして
動きが見えるようにすることがあります
イメージ色を使う場合は
キャラクターを目立たせたいのか
感情や状況を見せたいのかを決めてから
色を選びます
また描くときは
流したときに単調に見えないよう
明るい部分の形にも変化をつけます
この記事では
僕が美術を担当した「とびだせ上越」を例に
具体的な色の選び方と描き方を紹介します
※背景素材など掲載許可済み
アニメーション作家だけでなく
イラストレーターや漫画家など
簡単なアニメーションを作る方にも
参考になればと思います
流背の種類と色の考え方
背景色を使った流背
「背景色の流背」は、街中や屋外など
シーンにもともとある背景の色を
もとにして描く流背です

背景色の流背の色の選び方
背景色の流背では
背景で使われている色をもとにしますが
背景と完全に同じ色を使うと
流背にしたときにメリハリが弱くなります
そのため「彩度」と
「明度のコントラスト」を少し強くして
流背にしたときに
「背景色に見えるけれど
画面としては動きが出る色」
を選ぶようにしています
また、色数を増やしすぎるよりも
ある程度絞った方が整理しやすいです
色数を増やしすぎると
色の関係が複雑になって
明度差や色相差を
整理しにくくなることがあります
その結果
動きが見えにくくなる場合があります
絵の具で描く場合は
色が混ざったときに
汚い色になってしまうこともあります
イメージ色を使った流背
「イメージ色の流背」は
背景の色ではなく
キャラクターや感情、状況などをもとに
色を決める流背です
- キャラクターを基準にする
- 感情や状況を基準にする
キャラクターを基準に色を決める
キャラクターを基準にする場合はさらに2つの考え方があります
- キャラクターのイメージカラーに合わせる
- キャラクターを目立たせる色を使う
例えば
キャラクターのイメージカラーが
「青」の場合
キャラクターの印象に合わせて
青系の同系色を使う方法があります
反対に
キャラクターを目立たせたい場合は
補色に近い色を使う方法もあります

色や明度のコントラストを使って
見せたいものを目立たせる考え方は
「桜を目立たせるための色と構図の工夫」でも
紹介しています
感情・状況を基準に色を決める
感情や状況を基準にする場合は
まず
何を表現したいのか
を考えます
- キャラの「状況」なのか?
- キャラの「感情」なのか?
例えば、絶望的な状況でも
本人には闘志や希望がある場合もあります
その場合
配色で見せるのか
タッチで見せるのか
それとも両方で見せるのか
ここを決めておくと
色を選ぶ基準が整理しやすくなります
イメージ流背の色の選び方
イメージ色を使う場合は
背景色を使う場合と違って
自分で色を決める必要があります
- 明度は3~4階調程度に整理する
明度差が小さいと
動きが見えにくくなるためです - 彩度の高い色を使うことが多い
ポスターカラーの場合は
生色(混色していない色)に近い状態で
使うこともあります - 必要に応じてアクセント色を入れる

分裂3原色で色相に変化をつける
円形の色相環では
色が連続的に変化するため
どこからどこまでを同系色と考えるか
判断しにくいことがあります
そこで僕は、下図のような
分裂3原色の考え方を使っています
分裂3原色そのものについては
「色相・彩度・分裂3原色から混色を考える記事」で
詳しく説明しています

例えば上図の青系の流背では
「赤っぽい青」と
「赤っぽい青+黒」だけでなく
「黄っぽい青」も使っています
ピンク系の流背では
「赤っぽい黄」
「黄っぽい赤(ピンク)」に加えて
「青っぽい赤(マゼンタ)」を使っています
このように
同系色以外の色を1色入れると
明度や彩度だけでなく
色相でも変化をつけやすくなります
イメージ流背は明るい部分を一直線にしない
よくある失敗は下図の上段中央のように
画面中央の明るい部分が単調になって
スクロールしても
画面が変化しているように見えない
という失敗です
これは、僕がイメージ流背を
描き慣れていなかった新人時代に
よくやっていた失敗です
改善策としては
画面中央の明るい部分が
一直線にならないように
変化を付けるようにします

例えば下図で
3つの流背を並べて比較すると
中央の明るい部分が
単調な一直線にならないように意識していることが
分かると思います

まとめ
アニメの戦闘シーンや変身シーン
高速移動の演出でよく使われる流背にも
色の選び方や描き方には
いくつかの考え方があります
流背の色を決めるときは
まず
- 背景色をもとにするのか
- イメージをもとにするのか
を考えます
イメージ色を使う場合は
- キャラクターを基準にするのか
- 感情や状況を基準にするのか
を決めると
色を選びやすくなります
そこを決めてから描くと
「何を見せたい流背なのか」
が整理しやすくなります
アニメを作らない人でも
「へぇ〜
こんなことを考えて描いているんだ」
と、新しい視点で
アニメを楽しんでもらえたらうれしいです
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色だけでなく、画面全体の見せ方や
何を目立たせたいのかも関係してきます
絵を描くときに必要な
知識の全体像を知りたい方は
「形・空間・光・色・構図・表現の関係を
整理した記事」もあります
色や構図、パースなどを本で学びたい方は
「初心者〜中級者向けの絵の勉強本を
難易度と読む順番つきでまとめた記事」
もどうぞ