混色でやっていることは3つだけ|色相と彩度で理解する水彩混色
混色で考えることは
大きく分けると次の3つです
- 色相をずらす
- 彩度を落とす
- 明度を上げる/下げる
この3つに整理すると
「なぜその色を混ぜるのか」を
考えやすくなります
僕は2005年に
アニメ背景の仕事を始め
17年間、絵具を使った背景制作に
携わってきました
そんな僕も
仕事を始めた当時は
混色が苦手でした
混色の本を読んでも
きれいな色を作る方法や
木の葉の色を緑と茶色で作る方法など
具体例はわかっても
「なぜ、その色を混ぜるのか」
という考え方が
よくわからなかったからです
この記事では
3つのうち特に
- 色相をずらす
- 彩度を落とす
という2つを中心に
実際に絵具を混色した色見本を使いながら
3原色と分裂3原色から
混色の考え方を整理します
何を根拠に色を混ぜればいいのか
わからない方の参考になればと思います
混色は色相・明度・彩度を変えること
混色では
色相・明度・彩度のどれを変えたいのか
と考えると整理しやすくなります
明度は水の量や
白・黒の使い方とも関係するため
この記事では話を広げすぎず
色相と彩度を中心に説明します
色相とは「色味」のこと

「赤」と「黄」を混ぜて「オレンジ」を作る
「青」と「黄」で「緑」を作るというように
混色で色味を変化させることを色相をずらすなどと言います
彩度とは「鮮やかさ」のこと

この記事のように色相と彩度に注目すると
混色は大きく次の2つに分けて考えられます
- 彩度を落とさずに色相をずらす混色
- 彩度を落とす混色
混色する場合は2つのうちのどちらか
と考えると
整理しやすくなると思います
具体的な方法は次のようになります
- 補色や反対色を混ぜる
- 白や黒などの無彩色を混ぜる
- 赤・青・黄の3方向の成分が混ざるようにする
など
3原色で混色を考える
メリット|赤・青・黄の比率だけで考えられる

赤・青・黄の3色だけで考えると
混色はかなりシンプルになります
作りたい色が赤っぽければ赤を足す
黄色っぽければ黄色を足す
まずは色相だけに集中できるので
混色に慣れていないときは考えやすいです
僕も以前は
作りたい色になるまで
似た色をやみくもに追加していました
そのため
まず赤・青・黄の比率で考える方法を
知ったことで
混色への苦手意識がかなり減りました
ただし、3色だけで
すべての色を作れるわけではありません
どうしても3色だけでは
作ることができない色もあります
デメリット|彩度の高い紫や緑を作りにくい
- ピロールレッド
- フタロブルーレッドシェード
- イミダゾロンレモン

ホルベイン透明水彩を使用して筆者作成
たとえば上図のピロールレッドと
フタロブルーレッドシェードで紫を作ると
思ったより黒っぽく見えます
これは
ピロールレッドが完全に純粋な赤ではなく
少し黄みを含んだ赤だからです
黄みのある赤と青を混ぜると
赤と青だけでなく
少し黄も混ざった状態になります
赤・青・黄の3色が均等に混ざるほど
色はグレーに寄っていくので
結果として紫の彩度が下がります
僕はこの考え方を知ってから
「色が濁った」と感じたときに
どの色が余計に混ざっているのかを
考えやすくなりました
なぜ混色すると彩度が落ちるのか
彩度を落とさずに色相をずらす理想の混色は
下図のように
「純粋な青」と「純粋な赤」を混色して
「紫」を作ります

フォトショップで筆者作成
しかしピロールレッドは
「青っぽい赤」ではなく「黄っぽい赤」です
混色を考えるために
赤・青・黄の関係へ単純化すると
ピロールレッドは
「赤に少し黄方向の色味を含んだ色」
と考えることができます

赤・青・黄の3方向の色味が混ざるほど
彩度は下がりやすくなります
「赤っぽい青」の
フタロブルーレッドシェードと
「黄っぽい赤」のピロールレッドを
混色すると
「赤」と「青」だけでなく
「黄」も混ざるので
彩度が下がってしまいます

3原色を使って混色する場合は
下図のように
頭の中で赤青黄の比率をイメージして
疑似的に彩度を考えます

3原色を使った混色については以下の本に
混色の考え方や色見本、作品のメイキングなど
丁寧に解説されています
大人の水彩画塾 (三原色を極める)
青江健二 (著)
実際の絵具には色味の偏りがある
彩度をあまり落とさずに混色するには
「赤」「青」「黄」と大きくまとめるのではなく
・黄っぽい赤
・青っぽい赤
・赤っぽい青
・黄っぽい青
というように
絵具そのものの色味を
さらに細かく見る必要があります
微妙な違いではありますが
並べてみると違いがわかると思います

ホルベイン透明水彩を使用して筆者作成

混色する前の段階で
絵具にはすでに色味の偏りがあります
この弱点を補う考え方として使えるのが
次に説明する分裂3原色です
分裂3原色で彩度をコントロールする
「3原色では作れない色がある」
という問題を解決してくれるのが
暖色・寒色の赤青黄の計6色を使用する
分裂3原色です

上図のように、どれも純粋な色ではなく
少しずつ他の色が混ざっている色
と考えることができます
分裂3原色に使う6色の例
分裂3原色では
絵具の3原色と印刷の3原色を合わせた
6色で考えることが多いです
- ピロールレッド
(黄っぽい赤) - フタロブルーレッドシェード
(赤っぽい青) - イミダゾロンレモン
(青っぽい黄)
- キナクリドンマゼンタ
(青っぽい赤) - フタロブルーイエローシェード
(黄っぽい青) - イミダゾロンイエロー
(赤っぽい黄)
ニッカーのポスターカラーでは
別の色を使っていますが
色味の関係性としては下図のようになります

ニッカーポスターカラーを使用して筆者作成
分裂3原色のメリット・デメリット
- 彩度をコントロールしやすい
(彩度を落とす/落とさないを区別しやすい) - 3原色より広い範囲の色を作りやすい
- 彩度の高い紫や緑を作りやすい
- 暖色・寒色で考えやすい
- 3原色より考え方が複雑
彩度を落とす混色・落とさない混色
図はニッカーのポスターカラー使用

実線で3分割された領域は
赤青黄の3色のうち
共通した2色だけを含んでいるので
同系色と考えることができます
同系色同士で混色しても
赤青黄の3色中2色しか混ざっていないので
彩度は落ちにくいです
では彩度を落とす場合はというと
②~④のように隣の領域と混色すれば
彩度を落とすことができます

ニッカーポスターカラーを使用して筆者作成
④のように三角形の中心を通る
反対側同士を混色すると
一番彩度を低くできます
実際に上図の混色をしたものが下図です

ニッカーポスターカラーを使用して筆者作成
グラデーションの中央部分を見てみると
②に比べて③は
明らかに彩度が下がっているのが
わかると思います
赤青黄の比率で考えると下図のようになります

分裂3原色は光と影の暖色・寒色を考えやすい
下図のように
色相環は色相が連続的に変化していますが
分裂3原色では
暖色と寒色で非連続になっています

それで何ができるのかというと
分裂3原色は
暖色と寒色で非連続であることを利用して
下図のように同じ「青」で
光と影を表現することができます

ニッカーポスターカラーを使用して筆者作成
光と影の色を考えるときに
- 寒色の光に対して、影を相対的に暖色へ寄せる
- 暖色の光に対して、影を相対的に寒色へ寄せる
という整理の仕方もできます
もちろん色相環でも基準となる色に
「赤」や「黄」を混ぜて
相対的に暖色と寒色を作ることはできますが
分裂3原色のようにわかりやすくはありません
僕はこれを知って
光と影の色の考え方を
身につけることができました
光と影を考えるときは
明るさだけでなく色味を分けることも重要です
僕自身
木目と溝・影を同じような色で描いたため
平らな木目まで凹んで見えてしまったことがあります
→ 木目と溝・影の色を使い分けられず、凹んで見えた失敗例
【あわせて読みたい記事】
この記事では
3原色や分裂3原色から
混色の仕組みを整理しました
実際に色を作るときに
何を考えればいいのか知りたい方は
→ 混色で迷わないために意識している3つの考え方
また
混色について本でもう少し学びたい方は
→ 混色を学べる本を見る
もどうぞ