混色の本を読んでも
ただ綺麗な色を作る方法が書いてあるだけだったり
木の葉の色を緑と茶色を混ぜて作ったりといった
具体的な方法が書いてあるだけで
考え方が書いてないと困っているかたもいるのではないでしょうか

この記事では
2005年のアニメ背景会社に就職当時
苦手だった混色を独学で克服した僕が
結果は載っているが、なぜそうするのかが分からない
という疑問に答えるために

  • 「色相」をずらす
  • 「彩度」を落とす

というポイントに絞って

  • 3原色を使ったの混色のメリット・デメリット
  • 分裂3原色を使ったの混色ののメリット・デメリット

についてまとめます


この記事を読めば
「混色で何をコントロールしているのか」という考え方が
理解できる
と思います

混色でやっていることは、実は3つしかない

混色は色相・明度・彩度の3つをコントロールするだけ

混色でやることは以下の3つです

  1. 「色相」をずらす(できるだけ彩度を落とさない)
  2. 「彩度」を落とす
  3. 「明度」を上げる/下げる

 

明度に関しては水分量や白・黒で調整するとして
この記事では「色相」「彩度」について説明します

色相と彩度の説明

色相とは「赤っぽい」「青っぽい」「黄っぽい」など色の名前

「赤」と「黄」を混ぜて「オレンジ」を作る
「青」と「黄」で「緑」を作るというように
混色で色味を変化させることを色相をずらすなどと言います

彩度とは色の「鮮やかさ」

彩度を落とすには

  • 補色や反対色など色相環の反対側の色を混ぜる
  • 白・黒(無彩色)を混ぜる
  • 赤青黄の3色を混ぜる

などといった方法があります

同系色を混ぜれば彩度は落ちにくいですし
同系色以外の色を混ぜれば彩度を落とせます

 

混色について彩度に関して言えば

  • 彩度を落とさないようにする混色
  • 効率よく彩度を落とす混色

この2つのどちらかしかないと考えると
ラクかもしれません

 

3原色について

3原色のメリットは色相だけに集中できるから簡単

赤青黄の3色しか使わないのでとてもシンプルです

作りたい色が赤っぽければ「赤を足す」
黄色っぽければ「黄色を足す」だけです

色相(色味)だけで考えることができます

混色が苦手だった僕は
作りたい色になるまで
似た色をやみくもに追加していただけだったので
この方法を知って苦手意識を克服することができました

混色に慣れていない方が
思っている以上に色々な色を作れますが
残念ながら万能ではありません
どうしても3色だけでは作ることができない色もあります

3原色のデメリットは彩度の高い色が作れないことがある

具体的には絵具の3原色(RBY赤青黄)と言われている色(ホルベイン透明水彩)

  • ピロールレッド
  • フタロブルーレッドシェード
  • イミダゾロンレモン

を使ったときに
僕は「綺麗な紫」が作れなくて困りました

下図の「紫」が「赤」と「青」と比べて
「黒っぽい(彩度が低い)」というのがわかると思います

彩度を落とさずに色相をずらす理想の混色は下図のように
「純粋な青」と「純粋な赤」を混色して「紫」を作ります

しかしピロールレッドは「純粋な赤」ではなく「黄っぽい赤」です
つまりピロールレッドは「純粋な赤」と「黄」の混色と考えることができます

 

「赤青黄を均等に混ぜるとグレーになる」
という話は聞いたことがあると思います

「赤っぽい青」のフタロブルーレッドシェードと
「黄っぽい赤」のピロールレッドを混色すると「赤」と「青」だけでなく
「黄」も混ざっているので彩度が下がってしいます

3原色を使って混色する場合は下図のように
頭の中で赤青黄の比率をイメージして疑似的に彩度を考えます

 

3原色を使った混色については以下の本に
混色の考え方や色見本、作品のメイキングなど丁寧に解説されています

大人の水彩画塾 (三原色を極める)
青江健二 (著)
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具体的な透明水彩の色味

彩度を落とさないように混色をするには
「赤」や「青」と大きくまとめるのではなく
「赤っぽい」「青っぽい」「黄っぽい」など
色味の解像度を上げる必要があります

微妙な違いではありますが
並べてみると違いがわかるのではないかと思います

混色していなくても最初から
「赤っぽい」「青っぽい」「黄っぽい」といった色味がある
ということを知っていただいたところで
どのようにすれば3原色を使った混色の弱点を克服できるのかを説明します

分裂3原色

「3原色では作れない色がある」という問題を解決してくれるのが
赤青黄それぞれ2色ずつ計6色を使用する分裂3原色です

上図のように、どれも純粋な色ではなく
少しずつ他の色が混ざっていることがわかると思います

ホルベイン透明水彩を用いた、分裂原色の一例

分裂3原色では
絵具の3原色印刷の3原色合わせた6色を使うことが多いです

絵具の3原色(RBY赤青黄)

  • ピロールレッド(黄っぽい赤)
  • フタロブルーレッドシェード(赤っぽい青)
  • イミダゾロンレモン(青っぽい黄)

 

印刷の3原色(CMY)

  • キナクリドンマゼンタ(青っぽい赤)
  • フタロブルーイエローシェード(黄っぽい青)
  • イミダゾロンイエロー(赤っぽい黄)

 

ニッカーのポスターカラーで別の色を使っいますが
色味の関係性としては下図のようになります

分裂3原色のメリット・デメリット

メリット

  • 彩度をコントロールしやすい
    (彩度を落とす/落とさないを区別しやすい)
  • ほぼ全ての色を作ることができる
  • 暖色・寒色で考えることができる

 

デメリット

  • 3原色より考え方が複雑

 

彩度を落とさない混色/落とす混色の具体例

図はニッカーのポスターカラーで代用しています

実線で3分割された領域は
赤青黄の3色のうち共通した2色だけを含んでいるので
同系色と考えることができます

同系色同士で混色しても
赤青黄の3色中2色しか混ざっていないので彩度は落ちにくいです

では彩度を落とす場合はというと
②~④のように隣の領域と混色すれば彩度を落とすことができます

④のように三角形の中心を通った反対側同士の混色が
一番彩度が低くすることができます

実際に上図の混色をしたものが下図です
グラデーションの中央部分を見てみると
②と③を比べると明らかに彩度が下がっているのがわかると思います

赤青黄の比率で考えると下図のようになります

「分裂3原色:色相を寒色/暖色で区別」「色相環:色相が連続」

下図のように
色相環は色相が連続的に変化していますが
分裂3原色では色相の変化が連続していません

それで何ができるのかというと
分裂3原色は暖色と寒色で非連続であることを利用して
下図のように同じ「青」で光と影を表現することができます

  • 寒色光の影色は暖色
  • 暖色光の影色は寒色

もちろん色相環でも基準となる色に
「赤」や「黄」を混ぜて相対的に暖色と寒色を作ることはできますが
分裂3原色のようにわかりやすくはありません

僕はこれを知って
光と影の色の考え方を身につけることができました

 

色相・明度・彩度、色相環、混色などが詳しく解説されています
全てを理解する必要はありませんが
絵描きにとって最低限必要な科学的根拠がまとまった1冊です
辞書代わりに1冊手元に置いておくことをお勧めします

色と光マスターガイド イラスト上達のための理論と実践
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戦略的に限定した色を使うパレットの1つとして
分裂3原色が取り上げられています
「5段階の明度で描く」「色をグループ化する」など
おもに「明度」「色」「構図」に焦点を当てて
10の課題で段階的に絵の基礎を身につけるための本
実際に講座を受けているかのような1冊です

風景画のレッスン  形・構図・色の基礎知識
ミッチェル・アルバラ (著)
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以下の記事ではパース、構図、人体、など
絵を描くうえで必要な知識を分類して関連性を図示したうえで
20冊以上のお勧め本と難易度を紹介しています
自分に必要な知識がわからない
どの本を読めばいいかわからない
といった方は目次だけで自分に必要な知識が把握できると思います

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