『色と光マスターガイド』レビュー|色と光の理論と実践を学べる本
色と光 マスターガイド
イラスト上達のための理論と実践
この本を一言で表すなら
「色や光に関する理論や考え方を
根拠を持って丁寧に解説してくれる本」
です
正直これ一冊で
絵を描くのに必要な色と光の知識が
網羅されているのではないかと思います
「絵描きにとって色や光の知識は必要だが
厳密な理解は必要ない。
これだけ知っておけば十分!」
というスタンスで書かれていて
絵描きの視点から必要な色と光の知識を
科学的な裏付けとともに
丁寧に説明しています
図解も豊富で
視覚的にもわかりやすいです
ただし、内容はかなり本格的で
難易度も高めです
僕自身、アニメーション背景の仕事を
17年間続けながら
さまざまな本を読んできましたが
この本については「完全に理解できた」
とは言えません
それでも、絵を描くうえで
知っておくべき重要な内容が
たくさん詰まっている本だと思います
◎初心者にとって
「すべてを理解する本」というよりも
手元に置いておきたい道しるべになる本
◎中〜上級者にとって
なんとなく使っていた知識の
根拠を示してくれる本
すぐに
すべてを理解する必要はありませんが
「いつか全部を理解するつもりで
できるだけ早く目を通しておく」
そんなスタンスで
手元に置いておくのをおすすめします
どんな内容なのか?
この本は「理論編」と「実践編」の
二部構成になっています
色と光の理論だけでなく
デジタルイラスト、絵具イラスト
3DCG的な考え方まで含まれていて
本来であれば
2冊に分けられているような内容が
1冊にギュッと詰め込まれています
そのため、普段は
自分の専門分野の本しか読まない人でも
絵を描くうえで必要な知識を
横断的に学びやすい本だと思います
理論編
- 色と光について
- 陰影について
- 物体表面の反射の仕組みについて
光のスペクトル、視神経、絵具、色相環
に関する内容もあり
絵を描くときの考え方の背景を
理解する助けになります
絵が上手な人が
なぜその色や光の表現を選んでいるのか
その理由を考えるためのヒントが
得られる本だと思います
こうした光の知識は
実際に絵を描くときの明暗判断にも
つながってきます
壁や窓枠の明るさを例に
光の経路から面の明るさを考えた記事もあります
また、内容は下図のように
絵具イラスト、デジタルイラスト、3DCGまで
幅広く扱われています

本来であれば
それぞれの分野ごとの専門書を読まないと
得られないような知識が
この1冊にコンパクトにまとまっています
各分野の知識をつなぐ橋渡しとしても
わかりやすく整理された本だと思います
そのおかげで
普段は絵具でイラストを描いている僕でも
3DCGやキャラクターイラストの知識を
得ることができました
僕は風景画に関する本を
読むことが多かったので
「シェーディング」「肌の表現」
「物体表面の反射」など
名前は知っていても
わざわざ専門書を買うほどではないかな
と思っていた内容が
この一冊にまとまっていたのは
ありがたかったです
逆に、デジタルで
イラストを描いている方にとっては
絵具による混色の話は
馴染みがないかもしれません
しかし、絵具で描かれた絵の模写や
絵画的な表現を学ぶときには
混色の知識も参考になります
表現手法に関係なく
色と光について
最低限押さえておきたい内容が
バランスよく詰まっていると感じました
実践編
- 3つの異なる手法による
制作プロセス解説
◎「色替え」+「加筆」
曇り→晴天
曇り→早朝
曇り→夕暮れといった
時間帯や天候を描き分ける
◎「白黒ラフ」→「カラー仕上」
デジタルイラスト
◎絵具イラスト - ギャラリー

色替え

「色替え」の技術は
一般的なイラスト制作では
あまり馴染みがないかもしれません
主にゲーム、アニメ、映画業界などで
活用されている技術だと思います
たとえば、同じ構図で
「朝・昼・夕方」といった
異なる時間帯を描き分けるのは大変です
そこでまず、曇り空のような
陰影が強くない絵を一枚仕上げておきます
そのうえで
空の部分は別に描き直し
それ以外の部分は色替えを使って
コントラスト、影の色
ハイライトの色などを調整して
他の時間帯の絵として
仕上げます
そうすることで、最低限の加筆で
時間帯ごとのバリエーションを
作ることができます
僕自身
アニメの背景制作の仕事をしていたので
この技術はとても身近なものですが
一般的なイラストレーターには
あまり馴染みのない手法かもしれません
しかし
同じ構図で複数のバリエーションを
作って比較したいときには
とても便利な技術です
デジタルイラスト
デジタルイラストでは
白黒ラフからカラーに仕上げていく
制作プロセスが紹介されています

ここで解説されているのは
まず白黒の線画でラフスケッチを描き
次にグレーで明暗をつけてから
カラーで仕上げていく方法です
最初に明度を確認してから彩色することで
いきなり色で描き始めるよりも
絵全体を整理しやすくなるのが特徴です
絵具イラスト
絵具イラストの章では
絵具で描いたスケッチや写真をもとに
Photoshopで制作した習作を参考にして
絵の具で描くプロセスと
技法が解説されています
ギャラリー
ギャラリーでは
10人の作家による記事が掲載されています
各作家4ページずつ
「作品」「制作時に意識していること」
が紹介されています
ゲーム、アニメ、デジタル、アナログなど
さまざまな分野の作家の考え方に
触れることができるので
とても参考になります
本来なら、この実践編だけでも
3冊に分かれていてもおかしくない内容が
1冊にぎゅっと詰まっている感じです
一口に「デジタルイラスト」と言っても
業種ごとに必要とされる知識や技術は
まったく異なります
だからこそ
これだけ多様な分野の実践的な内容が
1冊にまとまっているのは
とても貴重です
ゲームやアニメ、イラストなど
それぞれの業界で活躍する人が
1人で書いたら
こうした幅広い内容が
1冊にまとまることはない
と思います
こんな人におすすめ
この本は、次のような人におすすめです
- 色や光について
根拠を持って理解したい人 - デジタル、アナログを問わず
広い視野で絵を学びたい人 - 自分の専門分野以外の絵にも
興味がある人 - 手元に置いて、何度も見返せる
「色と光の辞書」のような本が
欲しい人
初心者が最初から全部理解するには
難しい本だと思います
ただ、全部理解できなくても
早い段階で
一度目を通しておく価値はあります
今はわからない部分があっても
描き続けているうちに
「あの本に書いてあったのは
こういうことだったのか」
と後から理解できる内容が多い本
だと思います
まとめ
この本は
すべてを厳密に理解しながら
読む必要はありません
でも、絵を描く人であれば
いずれ必要になる知識が
たくさん詰まっています
今すぐに全部を理解できなくても
「そのうち理解しなきゃな〜」
と頭の片隅に置いておくだけで
絵を見る目や、練習するときの意識が
変わってくると思います
色と光について、感覚だけでなく
理論も含めて学びたい人には
手元に置いておく価値のある一冊
だと思います
色と光 マスターガイド
イラスト上達のための理論と実践
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