この本を一言で言うと
先輩の会話を隣で聞いているような本です
著者が、この本の内容を
「元アニメーターがいろいろと手を出してわかったこと」と
書いているだけあって
インタビュー形式で
アニメーター、漫画家、イラストレーターを経験した著者が
デッサン力、パース、記号表現、カメラのレンズ
デフォルメ、リアリティーなど
技法書に書いてあるような基本的なことを
わかりやすく説明したうえで
実際には、どのように考えているのか
ということが書かれています
「漫画のコマ割り」と「映像のカット割り」の違いや
「アニメーター」と「漫画家」で求められている能力のちがいなど
両方経験したことがあるからこその説得力があります
なかでも
「アニメーター」と「キャラクターデザイン」や「監督」では
求められている能力が違うのでステップアップしづらい
というアニメ業界の構造上の欠点も書いてあるので
絵を描く仕事に就きたいけど
具体的に何になればいいのかわからないといった人は
- 職人性を求められる「アニメーター」
- 作家性を求められる「漫画家」「イラストレーター」
どちらになりたいのか
具体的に考えるためのヒントになると思います
僕は、この本を読んで救われたと思いました
「自分の絵には個性や魅力がない」と思っていたところ
この本の「アニメーションと作家性」を読んだことで
「訓練をしてこなかっただけ」と切り替えることができて
自分の好きなものを地道に探し始めることができました
これから先
独学やリモートワークが増えていくと
先輩が「何に影響を受け」「何に悩み」「何を参考にしているのか」
といった情報は手に入りにくくなっていくと思います
先輩との世間話で
将来の自分をイメージすることが
どんどん難しくなっていくと思います
著者は1965年生まれで
僕より12歳年上です
僕も聞いたことはあるけど
具体的には知らない漫画家やアニメーターなどが
多く例に出ていました
僕も調べてみようかなと思っているくらいです
現在学生という方には
なじみのない例ばかりかもしれませんが
本質的なことを言っているので
古くならない内容だと思います
近くに相談する先輩がいないという方は
すぐには理解できなくても
いつか自分も通る道なんだろうなと
予習するつもりで読んでみることを
おすすめします